CO2低減に向けた取り組み

 ANA グループが排出するCO2の約98%は航空機が化石燃料を燃焼させることで発生しています。運航面や地上など各分野においてさまざまな工夫を重ねることにより、CO2削減および燃料節減を着実に進めています。

環境性能の高い新型機材の積極的導入

 燃料消費を削減し、CO2の発生を抑制する最も有効な方法は、燃料効率のよい新型航空機を導入することです。最新テクノロジ-を駆使したエンジンを採用し、翼型などの改善により空気抵抗を減少させ、複合材料などで重量軽減されたボーイング787型機に続き、三菱航空機製MRJについても、世界のエアラインの中で初めての発注会社となり25機導入予定です。2014年3月には、15年先を見据えて、更新機材の安定的な確保を目的として、ボーイング787-9型機、ボーイング777-9XおよびエアバスA320neo、エアバスA321ceoを70機発注しています。

<機種別燃料消費率>

機種別燃料消費率

機種別燃料消費率

燃料節減プロジェクト

 ANAグループで2008年から取り組んでいる「燃料節減プロジェクト」は、原油価格高止まりと円安による燃料関連費用の増大、国際線事業拡大によるCO2排出総量の増加傾向を受け、2014年4月から「グループ全社一丸」「見える化」をキーワードに体制を刷新しました。本プロジェクトは、2017年3月末までの3か年の間に確実な成果を出すべく、様々なアイデアを出し合いながら地道な活動に取り組み、すでに2014年度の活動を通じて、B777-200型機で羽田=大阪便 約1950往復に相当する燃料削減効果を創出しました。

燃料節減プロジェクトの取り組み例

燃料節減プロジェクトの取り組み例

運航分野での取り組み

省エネ降下方式の促進

降下開始点から水平飛行することなく、最終進入開始点まで最少のエンジン推力で連続的に降下していく連続降下到着方式と呼ばれる運航方式は、CO2削減、騒音低減に効果があります。関西国際空港で深夜早朝時間帯に運用を開始し、関係機関と協力しつつ順次対象空港を拡大中です。

省エネ降下方式の促進

着陸後の逆噴射抑制と片側エンジン停止での地上走行

着陸の際、安全が確保できることを前提に逆噴射を抑制し、エンジン出力を増加させずCO2排出を削減するとともに、騒音低減も図っています。また、着陸後の地上走行時、片側のエンジンを停止する運用を行うことでCO2を削減しています。これらは、空港、気象条件、路面状況、航空機の状態、管制塔からの指示などの要件を機長が総合的に判断して実施しています。

エンジンの洗浄

 航空機に装備されているエンジンは、使用時間の経過とともに、コンプレッサー(エンジン内部の圧縮器)部分に大気中の微細な塵が付着することにより、エンジンの燃費性能が低下します。エンジン内部の圧縮器部分の塵を定期的に水洗除去し、付着した塵を洗い流すことでエンジン性能を回復させ、燃費改善・CO2削減を実現させています。
 2014年度は、冬季作業における改善を図り、気温が0℃を下回った場合でもエンジン洗浄を実施できる手法を確立し、12月~2月間の冬季期間でも計画的に作業を行うことで、継続的な燃料節減に取り組みました。
 また、従来は国内空港でのみ洗浄作業を実施していましたが、2014年度はホノルル空港での長い駐機時間を活用した洗浄作業も開始しました。毎週固定曜日をエンジン洗浄日として計画し、整備作業の委託先であるUユナイテッド航空の協力のもと、洗浄1回あたり21KLの燃料を削減しました。

ホノルル空港でのエンジン洗浄

ウイングレットの装着

 ウイングレットとは主翼の端に取り付けられる小さな翼のことです。装着することにより、飛行中に発生する空気抵抗を減らすことができます。長距離運航をするボーイング767-300ER型機では、約5%の燃費向上効果があり、1機あたりのCO2排出量を年間2,100トン削減することができます。ANAグループでは、2010年に国内航空会社として初めてボーイング767-300ER型機にウイングレットを装着し、その後も順次装着を進めています。

次世代ペイントシステムの採用

 従来Coatingと比べて耐候性に優れ、揮発性有機化合物の含有量が少なく、軽量化にもつながる次世代ペイントシステムを採用しています。

航空機給水量の適正化

 機内に搭載する飲料用の上水は、国際線、国内線とも路線に応じて最適量を給水するよう基準の見直しを行い、航空機を軽量化することで燃費の向上を図っています。

客室シートの軽量化

 ANAとトヨタ紡織で、国内線普通席のシートを共同開発しました。
 ANAはエアラインとしてのノウハウとニーズを、トヨタ紡織は長年に渡る自動車用シート開発を通じて培ってきたもの作り技術を生かして、「お客様の心に残るひとときを」をコンセプトに、どなたでもリラックスできるシートを開発しました。
 また、今回のシート開発にあたっては、快適さを追求しながら、客室重量の軽量化に対しても挑戦し、従来型のシートと比較して1機あたり195kgの軽量化を図ることに成功しました。この軽量化により、1機当たり年間で約15KLの燃料削減となります。

4月21日に都内で行われた報道発表会

機内搭載品の軽量化

 航空機の軽量施策だけでなく、機内に搭載している備品類についても種々の工夫を行いながら軽量化に努めることで燃費向上に貢献しています。
具体的には、「翼の王国」(機内誌)、「Sky Shop」(ショッピングカタログ)の紙質変更やページ数削減による軽量化、客室乗務員からのレポートをもとに食器やお飲物などの搭載量の見直しや使用率の低い備品を取り下ろすなど細かい対応を実施しています。
また、客室乗務員のマニュアルを紙からi-Padに変更することで、70%の減量となりました。

機内搭載品の軽量化

地上でのエネルギー削減の取り組み

 2015年度は、約4,300万円の環境保全コストを投入し、その効果は約6,100万円となりました。

地上ハンドリング用電気自動車の導入促進

 ANA グループでは全国の空港で低公害車の積極的導入を進めており、2013年度末までに地上ハンドリング・サービス用業務車両として、羽田空港に7台、成田空港に2台の電気自動車を導入しました。これは年間で合計約10トンのCO2削減効果となります。

地上ハンドリング用電気自動車

電気バス実証実験への参画

 ANAグループの川崎殿町事業所と羽田空港間で運行する社用バスの一部に、(株)東芝と早稲田大学が推進する、ワイヤレス充電バスの「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証研究」に協力をし、電気バスの試験運行をします。ANAエコファースト企業として地上で排出するCO2に対しても積極的な削減に取り組んでいきます。

電気バス実証実験への参画

LED照明の採用によるエネルギー削減

 ANAグループの貨物運送事業を担っている(株)ANA Cargoでは、成田空港で輸出入貨物の取り扱いを行うための施設(貨物上屋 約16,000m2)の照明設備を、水銀灯からLEDに換装することで電力使用量を削減し、CO2排出量を年間504トン抑制、前年度と比較して70%削減となりました。
 更に2013年10月に国連環境計画(UNEP)で採択・署名した、水銀による汚染防止を目指した「水銀に関する水俣条約」では、2020年以降水銀を使用した製品の輸入・製造を禁止しています。ANAグループでは、この条約を積極的に順守し、対応を図っていきます。
 本施設での実績も参考にながら、LED照明のさらなる導入を順次検討してまいります。

成田空港の貨物上屋施設の様子

ISO14001への積極的な取り組み

 ANA整備センター機体事業室(成田事業所)では、ISO14001(環境マネジメントシステム)認証をANAグループとして初めて2001年に取得し、環境貢献に向けた活動に取り組み、毎年着実に成果を出してきました。その中で整備施設におけるCO2の削減に、事業所をあげて積極的に各種施策を実行した結果、2014年度のエネルギー使用実績は原油換算で約1,220KLとなり、2010年度を基準年にした場合の削減率は22%となりました。

成田整備工場でのISO14001エネルギー削減の状況