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    掲載日:2022.08.10

    八木瑛子がナビゲートするザルツブルク【空たびミュージック】前編

    音楽家の感性を通して、旅するようにヨーロッパの都市をご紹介するシリーズ企画「空たびミュージック」。第三回はフルート奏者の八木瑛子さんに、ザルツブルクのことをお聞きしました。八木瑛子さんにとってザルツブルクの魅力とは……?

    ハプスブルク家統治下で花ひらいた音楽の都

    世界遺産のシェーンブルン宮殿。ハプスブルク歴代君主の夏の離宮で1,441もの部屋があるという

    クラシック音楽ファンにとって、ウィーンやザルツブルクを擁するオーストリアは、一度は訪れたい旅行先の一つでしょう。また、とりたてて音楽に明るくはなくとも、オーストリアの第二の国歌ともいわれている「美しく青きドナウ」の調べなどから、美しい風景を思い描く方もいるのではないでしょうか?

    中世から20世紀初頭まで絶大な権力を誇ったハプスブルク家の統治下のウィーンではハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなど、名だたる音楽家たちが活躍しました。現在オーストリアの首都ともなっているウィーン。彼らにゆかりのある場所はもちろんですが、シェーンブルン宮殿やウィーン国立歌劇場、ドナウ運河など見どころが豊富です。
    そのウィーンから300kmほど西、ドイツにほど近い場所にある小さな都市がザルツブルクです。ザルツブルクの旧市街と歴史的建造物は1996年にユネスコ世界遺産に登録されています。

    Photo:Kenryou Gu
    八木さんは、反田恭平さんがプロデュースしているオーケストラ(JNO)でも演奏活動をしている

    今回のナビゲーターである八木瑛子さんは、2016年からザルツブルク・モーツァルテウム大学に留学しているフルート奏者。ご想像どおり、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトにちなんだ校名の大学です。八木さんは、ショパン国際ピアノコンクールで日本では半世紀ぶりの第2位を受賞した名ピアニスト・反田恭平さんが創設した、ジャパン・ナショナル・オーケストラ(JNO)のメンバーとしても活動中。「空たびミュージック」シリーズでは反田さんを含むJNOメンバーの音楽家が、各回ごとに交代しながらリレー形式でヨーロッパの都市を案内してくれています。
    では早速、八木さんと一緒にザルツブルクへの旅に出かけましょう。

    photo:Kenryou Gu
    ザルツブルクに留学中のフルート奏者、八木瑛子さん

    「ザルツブルクは地方のとても小さな町です。ウィーンのような華やかさはないのですが、その分とても穏やかで、地域のみなさんは、時間の使い方がとても丁寧なんです。私の住むアパートでも、上階に住むおばあさまは毎日ベランダのお花のお手入れをしています。しかも音楽好きな方なので、『窓を開けて練習してもいいのよ』と言ってくださって。とてもありがたい環境なんです。

    モーツァルトが生まれた街なのですが、当時の教会やホールも残っているんです。『モーツァルトもここを通ったのかな』とか『こういう場所を見て作曲したのかな』と、通学することさえ飽きることなく、道を行くごとにいつも感動してしまうんです」(八木さん)

    八木さんは大学まで自転車通学。「川沿いの道は季節によって彩りを変え、本当に素敵なんです」(写真:八木瑛子)

    モーツァルトが生まれた町

    記念博物館となっているモーツァルトの生家。少年時代に使用したヴァイオリンや自筆譜なども展示

    ザルツブルクは、モーツァルトが25歳でウィーンに移り住むまで暮らした町です。モーツァルトを愛する人々にとっての聖地でもあり、とりわけザルツブルク音楽祭が開催される夏の時期には世界中から音楽ファンが集い、モーツァルトの生家のある通りはたくさんの人で混雑するといいます。

    「普段から観光客の多い町ではありますが、音楽祭のある時期はそれはそれは多くの人で賑わいます。世界中から人が集まりますし、チケットもすぐに売り切れてしまいます。だから演奏会が目的でいらっしゃるなら、それなりに準備されてからいらした方がいいかもしれません。ただウィーンや、ドイツのミュンヘンも近いので、そうしたところへ別の演奏会を聞きに、気軽に出かけていくこともできます」

    市内に点在する醸造所やワイナリー

    オーストリアはワインもビールも美味しい国。近年はオーガニックワインの生産も盛ん

    ザルツブルクというと音楽のイメージが強いかもしれませんが、もちろん音楽だけの街ではありません。音楽祭の開催される夏の時期なら、八木さんの一押しはビアガーデン。

    「街の真ん中に醸造所があるんです。みんなものすごく大きいグラスになみなみとビールを注いで、『イェーイ!』みたいな雰囲気です(笑)。こちらの夏の夜は、9時でもまだ太陽がのぼっていて明るいんです。その中で、ビールを飲みながら過ごすビアガーデンは、それはそれは気持ちいいんですよ。
    オーストリアは、ワインも美味しいんです。フランスワインのような芳醇な感じではなく、ブドウ本来の味を楽しめる素朴なワインが多いようです。ザルツブルクは、住宅地の中にもワイナリーがたくさんあるんです。私の家の近くにもハウスワインを作っているところがあって、パッと行ってそのワインと一緒に食事をする、ということもできるんです。地方の町ならではの楽しみかもしれませんね」

    ガイドブックに載っていないワイナリーを見つけて、素朴なワインを味わいながらランチをいただく。そんな旅ができたらどんなに素敵でしょう。
    意外かもしれませんが、実はオーストリアは、エナジードリンクとしておなじみ「レッドブル」発祥の地でもあるのです。サッカーやアルペンスキーも盛んだといいますから、オーストリアの人たちは情熱的な性質を持っているのかもしれません。その情熱が一方では音楽を生み、一方ではスポーツへと昇華しているのではないでしょうか。

    後編では八木さんおすすめのザルツブルクのグルメをご案内しています。
    八木瑛子がナビゲートするザルツブルク【空たびミュージック】後編

    photo:Kenryou Gu
    八木 瑛子(ヤギ・エイコ)

    1994年生まれ。東京藝術大学を首席で卒業。在学中に安宅賞、卒業時にアカンサス賞、三菱地所賞を受賞。第25回日本木管コンクール第1位・保科賞、第32回日本管打楽器コンクール第3位、第85回日本音楽コンクール第2位を受賞。2019年より東京交響楽団研究員。2016年よりザルツブルク・モーツァルテウム大学に留学中。

    • メインビジュアル:八木瑛子
    ライター:若林 葉子

              

                                                             

                                                             

                                                             

                                                             

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