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    掲載日:2022.08.17

    八木瑛子がナビゲートするザルツブルク【空たびミュージック】後編

    音楽家の感性を通して、旅するようにヨーロッパの都市をご紹介するシリーズ企画「空たびミュージック」ザルツブルク編。フルート奏者の八木瑛子さんに、「大好き」というザルツブルクの自然や人々についてお聞きした前編に続き、後編では暮らしを彩る朝市やグルメについても教えていただきました。

    ようこそ、「サウンド・オブ・ミュージック」の世界へ

    「サウンド・オブ・ミュージック」の撮影地の一つ、ミラベル宮殿。今なお映画ファンが訪れる

    ザルツブルクは映画「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台となったことでも有名です。たくさんの山や湖が街を取り囲み、映画で描かれたとおり自然の風景が素晴らしいところです。
    ピアニストの反田恭平さん率いるジャパン・ナショナル・オーケストラ(JNO)のメンバーであり、ザルツブルクに留学中のフルート奏者・八木瑛子さんに、ザルツブルクでのお気に入りの過ごし方を聞いてみました。

    夏、八木さんがよく登るというウンタースベルクは、ザルツブルクのランドマークともいえる山(写真:八木瑛子)

    「ドイツとオーストリアを跨いでいるウンタースベルクという大きな山があるんです。街中からバスに乗って20分ほどと、気楽に行ける距離なので、夏にはそこに登りに行くこともあります。頂上からは、ザルツブルクの町が一望できるんです。帰りは絶壁を下りることになり、翌日は筋肉痛で歩けなくなるくらい険しいのですが、それでも登りたくなるようなとても素敵な山です。
    夏は湖へ泳ぎに行くことも。淡水なのでベタベタしないから、泳いだ後すぐにお洋服を着て帰れちゃうのも、湖のいいところですね」

    現地の人たちは、とにかく外で過ごすことが大好き。晴れた日には、競うように外に出るのだそうです。特に冬は、華やかなクリスマス・マーケットが終わると本格的な冬が到来するオーストリア。日照時間が長くなる春までは寒く暗い日が多く、その合間に1日でも晴れた日があると、みんな太陽を求めて外に出るのだとか。八木さんもそんな日には、自転車で出かけることが多いといいます。

    朝市で知るザルツブルクの美味しさと温かさ

    八木さんがいつも利用しているシュランネ。オーストリアの中でも有名な市の1つ(写真:八木瑛子)

    ザルツブルク生活の中で、八木さんが楽しみにしていることの一つが朝市「シュランネ」です。聖アンドリュー教会の広場で毎週一度、木曜日に開催されるこの朝市は1906年から始まりました。早朝から、農家をはじめとする生産者が、新鮮な特産品を持ち寄って販売しています。

    「野菜や果物、卵にパンに乳製品、お花と、生活に必要なものが揃っているんです。地元の人が色んなものを求めて、集まってきます。そこに行くとすごくエネルギーを貰えるので、私にとってのパワースポットだと思っているんです。お店の人もみんな優しくて。一度、そこで出会ったおじいさまから、ローズマリーの鉢植えをもらったこともありましたっけ」と、素敵なエピソードを交えて話してくれました。

    毎日通い詰めるほど美味しい料理に出会える街

    ウィーンから生まれた銘菓「ザッハトルテ」

    そして、「ザルツブルクに行くなら絶対に味わってほしい」と八木さんが勧めてくれたのはザッハトルテ。世界中で知られているお菓子ですが、その元祖はホテル・ザッハーのチョコレートケーキです。実際に地元の人たちも、特にクリスマス前やお正月、何かの記念日などに食べることが多いそうです。
    「ザッハトルテを食べるなら、ホテルザッハー・ザルツブルクのカフェでぜひ」と八木さん。ホテルザッハーは1866年に建てられて以来、世界の著名人が集う社交界の中心的存在としても知られています。宿泊するのはハードルが高くとも、カフェなら気兼ねなく楽しめそうです」

    ザッハトルテに加えて、ザルツブルクの郷土菓子も八木さんのお気に入りです。その名もザルツブルクの山々を意味するザルツブルガー・ノッケルン。
    「どんぶり鉢くらいの大きな器で出てくる、メレンゲを焼いたふわふわのお菓子です。私は3口くらいでもう十分なんですけれど、地元の方は物凄くたくさん召し上がります(笑)。向こうではとてもポピュラーなお菓子で、コーヒーにとてもよく合います」

    ザルツブルクの山々を意味する「ザルツブルガー・ノッケルン」。16世紀からの歴史ある郷土菓子

    発祥の地で聴く「きよしこの夜」の感動

    大勢の人で賑わうレジデンツ広場のクリスマス・マーケット。ザルツブルクの冬の風物詩(写真:八木瑛子)

    「ザルツブルクは『きよしこの夜』発祥の地なんです。クリスマスソングとして、日本でも知らない人はいないほどですよね。ザルツブルクでは、クリスマスに歴史ある大きな教会でこの曲の演奏会が開かれます。
    真っ暗な教会でろうそくの炎が灯される中、演奏されるんです。この曲が作られたときにそうだったように、ギターとコーラスだけの演奏もあるのですが、それがとても神秘的で本当に感動的なんです。もちろんクリスマス・マーケットも素敵ですから、日本の皆さんにもいらしていただきたいです。とても寒いですから(笑)、ぜひぜひ暖かい格好をして」

    歴史と音楽と自然と、そして人々の暮らしが調和している街。八木さんの話からは、そんなザルツブルクの姿が想像できました。ザルツブルクへの旅では、とても豊かで穏やかな時間が過ごせそうな予感がします。音楽会のチケットを準備して、ザルツブルクを訪れてみませんか?

    さて、次回はJNOのチェリスト、水野優也さんにバトンタッチ。「ドナウの真珠」ともいわれるハンガリーのブダペストを案内していただきます。どうぞお楽しみに。

    前編では、八木瑛子さんが日々の生活を通して感じるザルツブルクの魅力を語ってくれています。ぜひご覧ください。
    八木瑛子がナビゲートするザルツブルク【空たびミュージック】前編はこちら

    photo:Kenryou Gu
    八木 瑛子(ヤギ・エイコ)

    1994年生まれ。東京藝術大学を首席で卒業。在学中に安宅賞、卒業時にアカンサス賞、三菱地所賞を受賞。第25回日本木管コンクール第1位・保科賞、第32回日本管打楽器コンクール第3位、第85回日本音楽コンクール第2位を受賞。2019年より東京交響楽団研究員。2016年よりザルツブルク・モーツァルテウム大学に留学中。

    • メインビジュアル:八木瑛子
    ライター:若林 葉子

              

                                                             

                                                             

                                                             

                                                             

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