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    掲載日:2022.07.13

    反田恭平がナビゲートするパリ【空たびミュージック】前編

    音楽家の感性を通して、旅するようにヨーロッパの都市をご紹介するシリーズ企画「空たびミュージック」。第二回はピアニストの反田恭平さんに、パリのことをお聞きしました。反田恭平さんにとってパリの魅力とは……?

    「パリに住んでいると言ってみたい」

    photo:Yuji Ueno
    2016年のデビュー以来、国内外で活躍。2021年にはショパン国際ピアノコンクールで2位を受賞した反田さん

    「僕、ミーハーですから、パリに住んでますって言ってみたいんですよ」
    そう言って、にっこりとチャーミングな笑顔を見せてくれたのは、反田恭平さん。今、パリに住まいを探しているといいます。

    反田さんは2021年の秋、クラシック音楽における世界三大コンクールの一つ、「ショパン国際ピアノコンクール」で2位受賞を成し遂げたピアニスト。このコンクールで日本人として2位を受賞したのは51年ぶりの快挙として話題になり、日本のクラシック音楽界やクラシック音楽ファンを大いに沸かせました。

    文字通り一流のピアニストとして演奏活動をするにとどまらず、ジャパン・ナショナル・オーケストラ(JNO)を創立。時には自ら指揮棒を振り、さらにさまざまな企画のプロデュースも行うなど、クラシック音楽をもっと人々にとって身近なものにしようとする、その多彩な活動にも注目が集まっています。

    Photo:Kenryou Gu
    反田さん率いるジャパン・ナショナル・オーケストラ(JNO)。反田さんはピアノだけでなく、自らオーケストラの指揮もする

    音楽家の感性を通して世界の街をご紹介する「空たびミュージック」シリーズ。その第一回ではJNOのメンバーであるヴァイオリニストの岡本誠司さんにベルギー・ブリュッセルを案内していただきました。第二回では、反田さんにフランス・パリをご案内いただきます。海外経験豊富な反田さんがなぜ、パリに暮らそうとしているのでしょうか。その理由をお聞きした時に返ってきたのが、ユーモアにじむ冒頭の答えでした。

    フランスを象徴するエトワール凱旋門。凱旋門を中心に、シャンゼリゼ通りなど12本の通りが放射状に延びている

    「パリのファッショナブルな雰囲気にも惹かれますし、食事も美味しくて魅力的です。なんというか……世界の最先端をいきながら個性を大事にしている街ですから、そういう場所に身をおくことで自分のアクティビティを上げていきたいという気持ちもあるのです」

    一生の間に一度はパリに行ってみたい。ヨーロッパを旅するならパリは外せない。そんなふうに誰もが憧れるこの街は、反田さんのような国際人ですら魅了してしまうようです。いったいその理由はどこにあるのでしょう。

    パリにはセーヌ河岸やルーヴル美術館、チュイルリー公園、ヴェルサイユ宮殿など世界遺産に登録された名所が数多くあり、ファッションやグルメにおける世界の一流店が軒を連ねるなど、何度旅しても足りないほどの見どころに溢れています。
    街がまとう小粋さも素敵です。シャンゼリゼ通りの石畳を歩き、オープンカフェに座ってお茶をする。そうやって、自然体でありつつ実におしゃれで個性的なパリジェンヌを気取りながら、パリの空気を味わいたくなってきます。

    日々の幸せが詰まったクロワッサン

    パリに行ったら一度は食べてみたい焼きたてのクロワッサン。日常の中の小さな贅沢

    ガイドブックに載っている有名な名所旧跡や、世界に名をとどろかせるハイブランドを巡るのもパリの楽しみ方の一つですが、街の小さなパン屋さんで買えるたった一つのクロワッサンにもパリの魅力が詰まっていると反田さんは言います。

    「ピアニストの友人である務川慧悟さんがパリに住んでいて、よく遊びに行くんです。彼の家の近所に美味しいクロワッサンを売っているお店があるというので、半信半疑で行ってみたんです。そしたらこれがものすごくうまい! それ以来もう他のクロワッサンを食べられなくなってしまったくらい。
    値段にすると一個100円とか150円のパンですよ。それがこの美味しさ。パリの人たちはこういった日常の小さな幸せを大事にしているんですよね。

    僕は今でもそのクロワッサンを食べた時の『美味しかったなあ』という気持ちを鮮明に思い出せるんです。そういう感情が多いほど、きっと僕の演奏する音楽の音響や音の声が豊かになっていくんじゃないかと。パリはそんな刺激に溢れた街だと感じるんです」

    感情を正直に表現するパリの聴衆

    マロニエの並木道が美しいシャンゼリゼ通り。「パリの人たちは自分の感想を伝えることを躊躇しない」と反田さん

    クロワッサンの他にも反田さんには、パリで感動したことがあるのだそう。それはパリの由緒正しきコンサートホールで演奏した時のこと。演奏が終わったあとのスタンディングオベーションはもちろんですが、演奏後に直接声を掛けてくれる人の多いことに驚いたといいます。

    「フランス語は得意じゃないのですが、こう、両手を握ってくれるような感じで一生懸命何かを伝えてくれて。自分の演奏がどう受け止められたか知ることができるのは、とても嬉しいことなんです。
    パリの人たちは、きっと自分の感情に対して正直なんでしょうね。そしてそれを伝えることに躊躇しない。その分、上手く演奏できなかった時の冷たさというのもあるのでしょうけれど(笑)」

    1669年にルイ14世が創設した王立音楽舞踊アカデミーが起源と言われる国立劇場、オペラ座(ガルニエ宮)

    パリには歴史と実績を兼ね備えたいくつものホールが点在しています。パリ国立オペラ座やシャンゼリゼ劇場はもちろんのこと、たとえばパリ最古のステンドグラスが美しいサント・シャペル教会でも年間を通して夜間コンサートが開かれています。コンサートに出かけることは演奏を楽しむだけでなく、建築を味わうことでもあり、またその土地の人々の振る舞いや感性に触れることも醍醐味の一つなのかもしれません。

    後編では反田さんが感激したというパリのグルメをご案内いたします。
    反田恭平がナビゲートするパリ【空たびミュージック】後編

    photo:Yuji Ueno
    反田 恭平(ソリタ・キョウヘイ)

    2016年のデビュー以来、リサイタルやオーケストラのツアーなど国内外を巡り、2018年からは自身が創設したJapan National Orchestra(JNO)をプロデュースしている。JNOは2021年より株式会社として、またオンラインサロン「Solistiade」の運営も行うなど、クラシック業界の新しいあり方にも尽力している。2021年第18回ショパン国際ピアノコンクールでは日本では半世紀ぶりとなる最高位2位を受賞した。

    ウェブサイト:Kyohei Sorita Official Site

    ライター:若林 葉子

              

                                                             

                                                             

                                                             

                                                             

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