大気汚染・化学物質・騒音対策

大気汚染対策

大気汚染と航空のかかわり

 ANAグループの事業と大気汚染とのかかわりは、(1)航空機からの排出ガス、(2)地上用車両からの排出ガスなどが主たるものです。航空機からの排出ガスについては、国際民間航空機関(ICAO)の排出基準として、ICAO条約第16付属書に、航空機の離着陸を模擬したLTOサイクルでエンジンを運転した際に排出されるNOx(窒素酸化物)、HC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)、SN(煙濃度)の単位推力当たりの排出ガス量を規制しています。
 国内の航空法にも、「航空機の発動機の排出物基準」として航空法施行規則の附属書第3に定められています。

 ◆ICAO離着陸サイクル
着陸時の高度3,000フィートから、離陸上昇時の高度3,000フィートまでを離着陸サイクルとして、エンジンをこの条件で運転し、各排出量を計測するものです。 エンジンテスト条件は下表の出力状態および作動時間が条件となっています。

出力状態 定格出力(%) 作動時間(分)
離陸 100 0.7
上昇 85 2.2
下降 30 4.0
地上滑走 7 26.0
ICAO離着陸サイクル

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排気ガスの少ない航空機の導入

 ANAは航空機から有害排気ガスを減らす最も効果的な方法として、改良型の新型エンジンを装備した最新鋭機を積極的に導入してきました。ANAグループが保有する航空機のエンジンは、すべてICAO条約第16付属書の排出基準をクリアしています。

◆エンジンからの排出ガス量(2014年度)

航空機からの排出ガス量
(単位:千トン)
ANAグループ
(万トン)
ANAグループ
前期比(%)
NOx(窒素酸化物) 0.74 -2.6%
HC(炭化水素) 0.05 -16.7%
CO(一酸化炭素) 0.44 -4.3%

◆大気汚染(航空機による排出)

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燃料投棄とは?

 航空機の不具合や急病人の発生により予定外の着陸をする場合、もし航空機重量が着陸限界を超えていれば安全のために重量を減らす必要があります。このため、やむをえず燃料を投棄しなければなりません。空港ごとに投棄場所や高度が指定されており、市街地域を避けて洋上などで行われます。高々度で投棄された燃料は霧状となって拡散されるため、地上への直接的な影響はありません。2014年度は、計2回、約144キロリットルの燃料投棄が、日本列島東海岸沖太平洋上および、ニューヨークの南海上で発生しました。

◆燃料投棄回数と投棄量の推移

燃料投棄回数と投棄量の推移

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化学物質使用の削減

PRTR(環境汚染化学物質排出・移動登録)法への対応

 ANAグループでは当該物質の把握と確実な届け出を行うよう、購入品目と数量、成分および出庫量を関連づけてデータベース化し、一元的に管理しています。
 2014年度の当該物質の排出・移動量は、18,575kgとなり、昨年度から約40%減少しています。これは、航空機のランディングギヤー(降着装置)のメッキ業務を行っていた工場を売却したためです。
 また、ペイント作業では、非メチレンクロライド系剥離剤の普及などにより、環境負荷の低減が進んでいます。

◆ANAグループで使用した主な第一種指定化学物質(2014年度)

  指定化学物質 用途 CAS No. 特記
1 リン酸トリーノルマルーブチル 動翼・降着装置の作動油 126-73-8 SYYDROL500B4/
SYYDROL LD4
2 トルエン ペイント等の希釈材 108-88-3 揮発成分の少ない塗料を選定している
3 キシレン 塗料 1330-20-7  
4 六価クロム シーラント  

※化学物質特定に係る国際的標準番号

航空機の水洗と排水処理

 羽田空港および成田空港では、夜間に航空機の水洗を実施しています。ANAグループでは最適な水洗間隔を設定して、機体美観を保ちながら水の使用量の削減を図ってきました。2014年度も前年度と比較して確実に水洗実施回数、使用水量ともに削減させました。
 また、作業後の水は、空港内の排水処理施設にて適正な処理を行っています。

◆ANAグループの水洗使用水量と実施回数

ANAグループの機体水洗使用水量と実施回数

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防雪・防氷剤の環境対策

 航空機は翼や動翼、胴体などに雪氷が付着したままでは離陸できません。出発前には、お湯や圧縮空気(乾雪の場合)で雪を吹き飛ばし、続いて防雪・防氷剤を塗布しています。ANAグループでは1996年以降、この防雪・防氷剤をプロピレングリコール(PRTR法適用外の材料)に全面転換しています。
 また、防雪・防氷剤の使用量そのものを減らすため作業改善に努めていますが、冬季期間の降雪回数や量によって防除雪氷液の使用量は大きく変化します。一昨年は記録的な寒波や南岸低気圧の影響で広い範囲で降雪があったことが影響し、過去最高の防除雪氷液の使用量となりましたが、昨年においては、例年の水準となりました。

◆国内際の防雪・防氷の実施回数と防・除雪氷液の使用量

内際の防雪・防氷の実施回数と防・除雪氷液の使用量

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航空機の外装ペイント作業におけるPRTR物質や揮発性ガスの排出削減

 ANAグループでは、水質・土壌汚染対応として2009年3月から国内工場で実施する機体の塗装剥離作業に(PRTR法適用外の環境にやさしい材料の)「非メチレンクロライド系中性剥離剤」を導入しています。さらに海外の機体整備工場でも使用をしています。
 また、2004年度から塗料メーカーと進めてきた、クロムを含まない低VOC(揮発性有機化合物)型中塗剤(ブライマー)の開発は、トライアルを実施した後にエアバス機およびボンバルディア機で採用しています。
 あわせて、上塗剤については2002年度から揮発性ガスの発生が少ない「低VOC外装塗料」を導入し、全機材に対応しています。

騒音対策

 近年、航空機騒音の軽減に対する要求は強くなっており、飛行方式・航空機材の改善に向けた継続的な努力によって、地上の皆様や機上のお客様への騒音低減が図られています。ANAグループが保有する全機についてICAO騒音基準のうち最も厳しいチャプター4基準に適合しています。下のグラフは各機種の騒音基準値からの余裕度を示しています(右上にいくほど、静かな航空機ということができます)。ANAが世界に先駆けて導入した最新鋭ボーイング787型機は、エンジンのシェブロン(ギザギザ)形ノズル、新素材等の最新技術を積極的に採用した結果、格段の騒音低減を実現した航空機であることが、このグラフからもわかります。

◆ICAO Annex 16/チャプター4 基準(ANAG Feet)

ICAO Annex 16/チャプター4 基準(ANAG Feet)

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飛行方式の改善

地上に与える騒音影響を少なくするよう、種々の飛行方式を工夫しています。

◆ANAが実施している主な騒音軽減運航方式

ANAが実施している主な騒音軽減運航方式

ANAが実施している主な騒音軽減運航方式

航空機材の改善

 ボーイング787は従来機と比べて航空機の騒音が大きく軽減されています。この軽減に大きく寄与しているのが下表にあるエンジン、ナセルの改善です。この改善は、2005年に実施された、航空機の騒音を低減する静穏化技術実証機試験プログラムに参加し、ANAのボーイング777-300ER型機を使用した試験飛行と効果を基に、騒音の発生源(機体およびエンジン)を改良、改善した結果と言えます。
 以下に、実施された騒音軽減策の例を紹介します。

航空機材の改善