航空機の運航以外における取り組み

ANAグループにおけるCO2排出量削減の取り組み

エネルギー消費量の削減

ANAグループは省エネ法に基づき、独自に作成したエネルギー管理標準を用い、グループ全体の施設でエネルギー使用量の削減に取り組んでいます。省エネ法上「特定事業者」であるANA、ANAフーズ、ANAケータリングサービスは、2023年度実績(2024年度報告)で、努力目標である5年度間平均エネルギー原単位の年1%以上の低減を達成し、経済産業省の省エネ法クラス分け制度で省エネ優良事業者(Sクラス)に認定されました。また、ANAはクラス分け制度創設以来10年連続でSクラスを達成しています。
また、各事業所での省エネ対応を深化させるだけでなく、空港車両などのHV(ハイブリッド自動車)・EV(電気自動車)・FCV(燃料電池自動車)、そしてリニューアブルディーゼル(RD)の導入や自社施設・設備などの省エネ機器への更新を順次行っていきます。

再生可能エネルギーの活用

ANAグループでは再生可能エネルギーの活用を進めています。
ANAグループの総合トレーニングセンター「ANA Blue Base(ABB)」、ANA殿町ビジネスセンター、ANAテレマート長崎支店コールセンターでは、太陽光パネルを設置し、太陽光エネルギーによる電力を活用しています。また、大阪地区や九州地区の自社施設でも再生可能エネルギーを活用するなど、ANAグループ全体で導入を進めています。

再生可能エネルギー普及にむけた新たな取り組み

ANAホールディングスは、汐留事務所で使用する電力の一部に三井不動産が提供する「グリーン電力(実質的な再生可能エネルギー)」を使用し、CO2排出量削減に貢献します。この「グリーン電力」は、固定価格買取制度(FIT)による電力の買い取り期間を終えた(卒FIT)住宅用太陽光発電由来の環境価値がついた実質的な再生可能エネルギーのことです。三井不動産は、東京電力エナジーパートナーとオフィスビル等における「使用電力のグリーン化に関する包括協定」を締結し、テナント企業へ安定的に「グリーン電力」を提供しています。ANAグループは、環境負荷低減の取り組みを加速させるべくこの取り組みに賛同し、三井不動産(株)の「グリーン電力提供サービス*1」を活用しています。年間使用量はANAグループ汐留事務所電力使用量の約50%です。

  • グリーン電力提供サービス:
    オフィスビルなどで使用する電力を非化石証書の活用によって実質的に再生可能エネルギーとして提供する、三井不動産が独自に構築したサービス。RE100等に対応し導入割合などを柔軟に設計できるのが特徴。

ANAグループのエネルギー節減

ANAグループは、2050年度までに航空機の運航以外で発生するCO2排出量をゼロにすることを目標に掲げ、グループが所有する施設および賃貸物件でのエネルギー使用量の削減に取り組んでいます。ANA Blue Base(ABB)は代表的な省エネ施設として、「省エネ文化の醸成」をテーマに、エネルギー使用量の削減とその見える化や、様々なコンテンツを活用し情報発信にも取り組むなど、ABBの入居者全体を巻き込んだ取り組みを推進しています。
他、車輛燃料の節減においても、取り組みを進めております。

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資源循環の取り組み

ANAグループでは、3R(Reduce/Reuse/Recycle)+R(Renewable)を促進し、プラスチックや 紙などを中心に資源類の廃棄率の削減に取り組んでいます。

プラスチック使用量の削減

空港ラウンジや機内で使用するプラスチック製品の環境配慮型素材への変更を進めています。国際線機内食の主菜容器は 植物由来の素材、ストローは紙製、カトラリーやマドラーは木製へ変更し機内の使い捨てプラスチック使用量の約4割にあたる 年間約475トン(2023年度)を削減しました。

カトラリーを木製素材へ変更
主菜用容器を植物由来の素材へ変更

また、貨物梱包に使用されるビニール類のリサイクルを促進するなど、使用量の削減だけでなく3Rを推進する取り組みにも注力しています。

ANAと中部国際空港(株)による資源循環型スキームの構築

ANAと、中部国際空港(セントレア)は、使用済みの航空貨物用プラスチックフィルムを回収し、中部国際空港で使用するプラスチック製品に再生することで、プラスチックを廃棄しない空港内資源循環型スキームを共同で構築しました。これにより年間約20tのプラスチックごみが廃棄されることなく、その一部が空港内で循環することになります。こうした取り組みはサーキュラーエコノミーのみならず脱炭素化にも寄与するものであります。この技術や活動が認められ、「2025愛知環境賞」を受賞いたしました。

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ANAと中部国際空港(株)が中部国際空港における資源循環型スキームを愛知県のプロジェクトチームと共に構築 新しいウィンドウで開く。外部サイトの場合はアクセシビリティガイドラインに対応していない可能性があります。

2025愛知環境賞 新しいウィンドウで開く。外部サイトの場合はアクセシビリティガイドラインに対応していない可能性があります。

紙類資源の削減

2023年5月から順次、国内線の保安検査場と搭乗口の改札機をリニューアルし、紙の「保安検査証」「搭乗案内」も順次廃止 を進めています。また、雑誌・新聞をご自身のデジタル端末でご覧いただけるサービスなど、デジタル化を進め、紙資源の使用 を削減しています。

世界初の新素材「あっぷるん」を共同開発
客室乗務員発案!機内誌 「翼の王国」 を素材原料としてアップサイクル

ANAは、機内誌「翼の王国」を原料として、“まるでプラスチックのように柔軟に成形ができるアップサイクル紙素材” 「あっぷるん」を、BECS株式会社と共同開発いたしました。「あっぷるん」の原料となるのは、毎月発行され、世界中を旅し終わったANAの機内誌「翼の王国」。仕上がった製品の手触りも、プラスチックのようになめらかな質感で、世界初の素材となります。
使用後は、既存の古紙回収のリサイクルフローに適応する素材のため、リサイクル性も高く、紙の廃棄量の削減と使い捨てプラスチック製品の代替素材として、プラスチックの使用量も削減する大きな可能性を秘めた素材です。

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世界初の新素材「あっぷるん」を共同開発 新しいウィンドウで開く。外部サイトの場合はアクセシビリティガイドラインに対応していない可能性があります。

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Reduce

機内
  • アメニティキット包装をビニールからFSC認証の紙による紙帯へ変更
  • アメニティポーチの化粧品包装ビニール袋をバイオマス配合の素材へ変更
  • マドラー・カトラリー・ストローの環境配慮型素材へ変更
  • 電子化による紙の時刻表廃止
  • 機内誌や貨物運送状の電子化促進
  • ヘッドレストカバーのリユース素材への変更
整備
  • 洗浄剤の使用量削減(超高圧水でエンジン部品を洗浄)
その他
  • 旅行パンフレットの適正数量への見直し
  • 紙媒体マニュアルの電子化
  • 空港での手荷物梱包用ビニール袋を廃止
  • ラウンジで提供するアメニティを再生プラスチックや自然分解性バイオマス が配合された素材にリニューアル

Reuse

機内
  • 再生プラスチックを原料とした機内用品(国際線の飲料カップやサラダボールカップなど)の導入
整備
  • 梱包資材のリユース
自社施設
  • 機内搭載水の残りや厨房排水処理水(中水)の利用
  • 独自に策定したファシリティースタンダードに基づいたオフィス備品(机など)のリユース

Recycle

機内
  • 雑誌類のクローズドリサイクル
整備
  • 貨物防水・防塵用ビニールシートのリサイクル
  • 梱包資材リサイクル
  • 航空貨物用プラスチックフィルム等をリサイクルし、ANAで使用するプラスチック製品に再生
空港施設
  • 梱包資材のリサイクル
  • 手荷物タグの回収、リサイクル

Renewable

機内
  • アメニティキット包装をビニールからFSC認証の紙による紙帯へ変更
  • アメニティポーチの化粧品包装ビニール袋をバイオマス配合の素材へ変更
  • 国内線プレミアムクラスの機内食容器を紙製の素材に変更
  • 国際線機内食の主菜用容器を植物由来の素材に変更
  • マドラー・カトラリー・ストローを環境配慮型素材へ変更
  • 世界初の新素材「あっぷるん」を機内誌から共同開発
貨物
  • 航空貨物用プラスチックフィルム等をリサイクルし、ANAで使用するプラスチック製品に再生
空港施設
  • ラウンジで提供するアメニティを再生プラスチックや自然分解性バイオマス が配合された素材にリニューアル

食品ロスと食品廃棄の削減

食品製造会社(株)ANAケータリングサービス、や食品販売会社ANAフーズ(株)では、食品リサイクル法に準拠し、加工の過程で発生する食材のリサイクル率向上に努めております。一方、機内で発生する食品廃棄を削減するため、国内線(プレミアムクラス)、国際線(ファーストクラス、ビジネスクラス)において廃棄率をモニターし、機内食搭載数の見直しを行っています。国際線のファーストクラスとビジネスクラスではAIを活用した機内食の事前予約サービスを導入し、機内で食事のご要望にお応えできない状況を回避すると同時に、余剰な機内食の搭載をなくし、お客様の満足度向上と食品廃棄の削減を実現しています。

食品ロスに関する取り組み

食品ロスに対する取り組みとして、調理時の食品残渣の活用を行っています。ANAの機内食を製造する(株)ANAケータリングサービスの工場では、調理時に食品残渣を100%リサイクルし堆肥や飼料にしています。それを自社で有効活用する“循環型”の取り組みとして、同社 成田工場で発生した調理残渣由来の堆肥を使用して育てたソフトケールを、2022年3月より一部の国際線のエコノミークラスで提供されるサラダで提供しています。

この循環型の仕組みは、2022年12月に農林水産省から「リサイクルループ認定」として、認定をうけました。
航空会社が運営するケータリング会社では国内初となります。

リサイクルループ認定書 PDF 新しいウィンドウで開く。外部サイトの場合はアクセシビリティガイドラインに対応していない可能性があります。

残渣由来の堆肥を使用して育てたケールを使用 新しいウィンドウで開く。外部サイトの場合はアクセシビリティガイドラインに対応していない可能性があります。

サステナブルな食の取り組みについて 新しいウィンドウで開く。外部サイトの場合はアクセシビリティガイドラインに対応していない可能性があります。

ライフサイクルからみる食品のサステナビリティ

ANAグループでは食材の有効活用を実現する「食品循環型の仕組み作り」を構築し、食材から、お客様への機内食提供に至るまでのライフサイクルで食品廃棄の管理を実施しています。

* No Thank you Option」と「Quick & Light Meal」 Opens in a new window.In the case of an external site,it may or may not meet accessibility guidelines.

環境法令

容器包装リサイクル法とは

容器包装リサイクル法は、環境省、経済産業省、財務省、厚生労働省及び農林水産省の5省が所管しており、容器包装廃棄物を資源として有効利用することにより、ごみの減量化を図るための法律です。消費者は分別排出、市町村は分別収集、事業者は再商品化(リサイクル)を行うことが役割となっています。また、平成12年の容器包装リサイクル法の完全施行後から公益財団法人日本容器包装リサイクル協会にリサイクル業務を委託しています。

食品リサイクル法とは

食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律です。食品製造工程から出る材料くずや売れ残った食品、食べ残しなどの食品廃棄物(未利用資源)」を減らし、リサイクルを進めるため、生産者や販売者などに食品廃棄物の減量・リサイクルを義務付けた法律であり、2000年に制定されました。農林水産省・環境省が所管しています。食品循環資源の再生利用等を総合的かつ計画的に推進するため、実施すべき量に関する目標を、業種別(食品製造業、食品小売業、食品卸売業、外食産業)に定めており、ANAグループは準拠しています。

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