
出典 : pixta_46168956
犬にも思春期(反抗期)があった!期間はいつまで?

前述したように、今回発表された研究では、生後6ヶ月齢頃から9ヶ月齢ごろに犬も思春期(反抗期)を迎えることが明らかになりました。
また様々な専門家の経験では、思春期(反抗期)の時期は犬種や性別によって異なり、小型犬は生後4ヶ月から6ヶ月頃、大型犬は生後9ヶ月から12ヶ月頃に訪れることが多いようです。
性別の違いからみた場合、オスはマーキングが始まる頃、メスは発情期を迎えてから思春期(反抗期)の期間に入ることが多いため、これらの様子が見られたら反抗期の時期に入ると思っておいてよいでしょう。
思春期(反抗期)が終わる時期は、個体差があるため一概にいつまでとは言い切れませんが、今回発表された研究では、思春期(反抗期)を迎えて飼い主さんに対して反抗的な態度をとるようになった行動も、12ヶ月を過ぎるとほとんどの犬が、従順な対応に戻るということが調査でわかりました。
思春期(反抗期)の子犬の仕草は?どんなことをする?

思春期(反抗期)には、どんな仕草をみせるようになるでしょうか。
今までできていたことができなくなる、指示に従わなくなるなど、困った問題行動は思春期(反抗期)のせいかもしれません。
思春期の仕草①【反抗的な行動】
今回発表された研究では、盲導犬として訓練中の子犬とトレーナーやお世話係との関係について調査を実施しました。
その結果、思春期(反抗期)だと飼い主さんに対する従順さが減少し反抗的な行動が増すことが判明しました。
また、知らない人が指示を出す行動テストでは、犬はきちんと指示に従っていたのに、盲導犬のトレーナーや世話係に対してだけ反抗する振る舞いを見せることがわかったことから、飼い主さんには反抗的でも、普段関わっていない人には従順になるようです。
思春期の仕草②【こだわりが強くなる】
思春期(反抗期)を迎える前の子犬は柔軟性があり、嗜好性や環境の変化にもとても柔軟ですが、思春期(反抗期)を迎えると様々なものに対するこだわりが強くなり、食べ物やおもちゃの嗜好性が偏ったり、自分のしたいことに対する執着が強くなることがあります。
思春期の仕草③【守りや主張が強くなる】
前述したように、思春期(反抗期)を迎えた犬はこだわりが強くなるため、食べ物や普段休んでいる場所、自分のおもちゃなどを占有するために主張が強くなってきます。
そのため、食べ物やおもちゃなどを飼い主さんが無理やり取り上げようとしたり、休んでいる場所からどかそうとしたりすると、ものや場所を守ろうとして唸ったり咬みつこうとすることもあります。
また、自分のしたいことに対する主張も強くなるため、お散歩中に犬が行きたい方向とは違った方向に歩こうとすると動かなくなったり行きたい方向に引っ張ったり、時には自らの主張が通らないと唸って威嚇することもあります。
思春期の仕草④【警戒心が強くなる】
思春期(反抗期)を迎えると警戒心が強くなるため、思春期(反抗期)を迎えるまでは全く吠えなかったインターホンの音や散歩中にすれ違う犬や人に対して、警戒から吠えるようになることがあります。
子犬の頃から社会化のために経験していたことでも、思春期(反抗期)を迎えてから急に警戒心が強くなることもよく見受けられます。
思春期の仕草⑤【ご飯を食べなくなる】
犬の思春期(反抗期)は、人間でいう2歳児の「イヤイヤ期」のような行動をすることがあります。
飼い主さんの言うことを聞かなくなるほか、ご飯を食べなくなるケースもみられます。
ご飯を食べなくなってしまうと、飼い主さんも不安になるかもしれません。
しかし、だからといって、好んで食べるおやつだけを与えることは避けるべきです。
「ご飯を食べなければおやつがもらえる」と学習してしまい、余計にご飯を食べなくなるおそれがあり、栄養の偏りが生じてしまいます。
思春期の仕草⑥【トイレの失敗】
飼い始めた頃からしっかりとトイレトレーニングをし、きちんとトイレの場所を覚えていたとしても、思春期(反抗期)に入り、ホルモンのバランスが不安定になることからトイレを失敗してしまうようになることもあります。
また、室内のトイレで排泄するように教えていても、外での排泄を習慣づけてしまうと家の中では排泄をしたがらなくなることもあります。
さらに、オスの場合マーキングが増えるため、家のいたるところにおしっこをしてしまう子もいます。
反抗期はなぜ起こるのか

人間と同じように、犬も性成熟を迎えることで「自我の芽生え」が思春期(反抗期)を迎えるきっかけになると言われています。
自我が芽生えると、いろいろなものへのこだわりや嗜好性などが定まってくるため、思春期(反抗期)を迎える前に比べると柔軟性が低くなってきます。
そのため、飼い主さんの要求に反発する場面も多くみられるようになります。
また、オスの場合は、性ホルモンの影響から縄張り意識や警戒心、闘争心が増える時期でもあるため、それが反抗期特有の問題行動につながるとも考えられています。
さらに、思春期(反抗期)を迎える前に社会性を身につけられなかった犬の場合、思春期(反抗期)を迎えて過敏性や恐怖心がさらに助長されてしまうため、強い恐怖を感じ、犬自身が追い込まれてしまうと、脅威の対象から「逃げる」ための脱走や、「戦う」ための咬む行動を起こしてしまうこともあるようです。
この時期は、恐怖心と同時に「自信」がつく時期でもあります。
「恐怖心」と「自信」という相反するものが同時にやってくるため、反抗期のような現象が起きるとも考えられます。
犬の反抗への正しい対応・接し方

思春期(反抗期)の期間、急に飼い主さんの言うことを聞かなくなった場合、すぐに「愛犬がついに反抗期に入った!」と判断するのはNGです。
まずは、基本的なしつけが完了しているかどうかをおさらいしてみてください。
しつけが完了していないと、その問題行動の原因が反抗期なのか、愛情不足や運動不足からくるストレスなのか、それともただ指示が理解できていないのかを見極めることができません。
もし反抗期によるものでなければ、通常通りのしつけを継続していく必要があります。
ここでは、しつけが完了していることを前提に、反抗期になった愛犬への正しい接し方についてご紹介していきます。
反抗期の接し方①【咬みついてきてもうろたえない】
反抗期に多くみられる問題行動が「咬む」行為です。
愛犬が咬みついてきたら、飼い主さんは慌てて手を引っ込めてしまうかもしれませんが、この行動により「何か気に入らないことがあれば噛めばいい」と思い、問題が助長されてしまうことがあります。
また、噛むかわりに唸ることもありますが、この時点で「なぜ唸るの」と叱ったり注意するのはNG。
犬が脅威を感じてしまい、唸るどころか咬みついてしまうように問題が悪化してしまうこともあります。
これらの理由から、唸る咬みつく問題を悪化させないためにも、咬みついたり反抗するような行動を叱ってやめさせようと考えるのではなく、咬みつくような状況を作らないことが大切です。
犬が咬むのには理由があり、何かの脅威を感じていることを理解してあげましょう。
特に思春期(反抗期)の時期は気持ちが不安定になるので、飼い主さんの気持ちを無理強いしたり、怒ったり叱ったりするのではなく、温かい気落ちで見守ってあげて予防を心がけるようにしてみてください。
反抗期の接し方②【気持ちが満たされているか?」を確認】
愛犬が飼い主さんに要求して吠えるのは、何か気持ちが満たされていないからです。
十分に散歩に連れていったり遊んであげているか?日頃から十分なコミュニケーションがとれているかなど、犬にとって必要となる欲求が十分に満たされているかを見直してみてください。
また、要求に対して何もせずにただ答えるだけでは、「吠えれば要求を満たしてもらえる」と学習してしまいます。
これを繰り返すことは、余計吠えることに繋がってしまうおそれがあるでしょう。
そのため、オスワリ、伏せ、呼んだら来るなど基本的なトレーニングの練習をしながら、成功したときのご褒美として欲求を満たしてあげてください。
反抗期の接し方③【食べないならご飯を減らしてみる】
反抗期にご飯を食べなくなることがありますが、だからといっておやつばかりあげたりご飯に好物をトッピングしてあげると、余計にご飯を食べなくなるおそれがあります。
まずは日頃から十分に運動をすることを心がけ、また、病気でないかどうかを確認しましょう。
これらの心配がないのであれば、ご飯の量を減らしてみるのも一つの方法です。
痩せすぎていなければ無理に与える必要はありません。
食べないからと言って食べるまで置きっぱなしにしてしまうと、食べ物を守るようになるなど他の問題を学習してしまうこともあります。
万が一、おやつも食べない場合は、体調が悪いおそれがあります。
ご飯もおやつも全く食べない状態であれば、かかりつけの動物病院へ相談してください。
反抗期の接し方④【再度トイレトレーニング】
反抗期にトイレを失敗する、または飼い主さんが困るところでおしっこをするような行動が見られたら、再度トイレトレーニングをしましょう。
「反抗期だからしょうがない」「反抗期が終われば戻るだろう」と何もしないのはNG。
反抗期であっても、しつけはできます。
もう一度トイレトレーニングをするのはとても大変ですが、決まった場所でトイレができるようにしっかりとしつけていきましょう。
また、排泄の頻度も多くマーキングの可能性がある場合は、去勢を検討することも必要なのでかかりつけの動物病院に相談しましょう。
反抗期の接し方⑤【お散歩ルートの見直し】
お散歩中に出会うほかの犬に吠えてしまう場合、ほかの犬に出会わないお散歩ルートを探してみてください。
思春期(反抗期)は、飼い主さんの言うことを聞かないことが多いものです。
それなら、そのような状況を前もって回避するべく、飼い主さんが指示をしなくて済む環境をつくってあげましょう。
愛犬がほかの犬に吠えることがないよう、犬に出会わないお散歩ルートを開拓することで問題を予防することができます。
また、犬とすれ違う時に大好きなご褒美をあげながらすれ違えば、飼い主さんに対する集中力が高まり、他の犬を気にせずにすれ違えるようになることもあります。
散歩中、他の犬に吠えてしまう場合、飼い主さん自身も散歩がストレスになってしまうので、難しい場合はすぐに専門家へ相談しましょう。
2歳になっても反抗期はある!?犬のイヤイヤ期

人間の子どもには「魔の2歳児」と呼ばれるイヤイヤ期がありますが、実は犬も2歳頃に第2次反抗期がやってくると言われています。
2歳頃は自我も確立され、愛犬の本音がみえる時期でもあります。
飼い主さんの指示ばかりに従わず、自分が思うまま行動してしまうのが、2歳の犬の反抗期。
例えば、指示に従わずに自分のおもちゃを放さない、自分の寝るところではなく家族のベッドで寝るなどといった行動が見られるようです。
こうした場合、飼い主さんの指示に従うことが喜びにつながる、嬉しいことが起きる、ということを再度習慣化する必要があります。
何か指示をするときは、ご飯の前や遊ぶ前、お散歩の前など、愛犬が受け入れやすいタイミングで行うとよいでしょう。
まとめ

人間と同じように、犬にも思春期(反抗期)があります。
思春期(反抗期)だからといってほっといてしまうと、飼い主さんと愛犬のその後の関係性が崩れてしまうおそれがあります。
思春期(反抗期)ということを理解しながら正しい対処をし、必要に応じて専門家の力も借りながら愛犬との信頼関係を築いていきましょう。