ANA Inspiration of Japan

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インド西部の世界遺産を全制覇!
ムンバイ直行便で行く壮麗スポット9

2017.06.29ANAオリジナル

ANAオリジナル
チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅

日本の約9倍の面積をもつインドは、さまざまな文化や宗教が入り混じるカオスの国。インダス文明を起源とする約5000年の歴史のなかで、独特の世界観が育まれました。国内に点在する35の世界遺産のうち27が文化遺産として登録されていることも、インド文化の多様性と奥深さを表しているといってよいでしょう。
今回はインド西部に焦点を当て、西部の拠点ムンバイから行ける9つの世界遺産を紹介します。ムンバイへはANAの直行便が毎日運航されていて、所要約9時間55分。アラビア海からの風に包まれ、悠久の大地に遺された世界遺産を巡ってみましょう。

Text by
Makoto Miura
Cover photo by
Paul Prescott/123RF

3つの宗教が共存する、エローラ石窟群

エローラ石窟群は、インドの遺跡巡りでは外せない人気観光スポット。デカン高原にそそり立つ岩山に34の石窟寺院が連なり、これはすべて岩盤を少しずつノミで削るという多大な労力と時間をかけて造営されたもの。3つの宗教が混在しているのが特徴で、南から1~12窟が仏教、13~29窟がヒンドゥー教、30~34窟がジャイナ教と並んでいます。石窟を飾る彫刻や石像は、手作業だからこそ成せる繊細かつ荘厳な雰囲気。当時の人々の信仰の厚さや技術の高さを知ることができます。

岸壁から掘り出された石窟寺院群。入口で迎えてくれるのは第16窟のカイラーサ寺院
岸壁から掘り出された石窟寺院群。
入口で迎えてくれるのは第16窟のカイラーサ寺院

エローラ最大の見どころは、ヒンドゥー教石窟群に含まれる第16窟のカイラーサ寺院です。巨大な塔門をくぐると重厚な礼拝堂や石柱が現れ、その存在感に誰もが圧倒されるでしょう。壁面には神々や動植物をモチーフとした彫刻が施され、その一つひとつが今にも動き出しそうな躍動感にあふれています。奥には高さ33mに達する本殿が立ち、階段状に層を重ねた頂きにドーム状の石を配した構造に、典型的な南インド様式をみることができます。

岩山を削って造ったとは思えない精緻な彫刻が見もの。他に例をみない規模と完成度 Ph Paul Prescott/123RF
岩山を削って造ったとは思えない精緻な彫刻が見もの。
他に例をみない規模と完成度
Ph Paul Prescott/123RF
エローラ石窟群
アクセス:ムンバイから国内線でオーランガバードまで約50分。そこから車で約1時間

仏教美術の源流を残すアジャンタ石窟群

デカン高原を切り裂くワーグラー渓谷の断崖に、30あまりの石窟寺院が整然と並ぶアジャンタ石窟群。紀元前2世紀~後1世紀の上座部仏教期には簡素な8~10窟と12・13窟が造られ、5~7世紀の大乗仏教期には、その他の華やかな装飾が施された石窟が築かれました。中央アジアから中国、日本へと続く仏教美術の原点となる壁画や彫刻が残され、宗教史の観点からも貴重な存在。1819年まで1000年以上もジャングルに覆われていたため保存状態がよく、数奇な歴史によって現代に贈られた人類の至宝といえます。

ブッダが刻まれた仏塔が鎮座する第26窟。インド最大の涅槃像も要チェック
ブッダが刻まれた仏塔が鎮座する第26窟。
インド最大の涅槃像も要チェック

アジャンタのハイライトは、宮殿のような荘厳な造りが美しい第1窟です。壁や天井は菩薩の姿や伝説を描いた絵画で埋め尽くされ、特に蓮の花を手に物憂げな表情を浮かべる蓮華手菩薩は、仏教絵画の最高傑作と称されています。法隆寺金堂壁画の源流ともいわれ、確かに日本の菩薩像の面影がみられます。

インド固有のしなやかな姿勢が美しい蓮華手菩薩。周囲には神々や動物が描かれている
インド固有のしなやかな姿勢が美しい蓮華手菩薩。
周囲には神々や動物が描かれている
アジャンタ石窟群
アクセス:ムンバイから国内線でオーランガバードまで約50分。そこから車で約3時間

ムンバイの発展を支える、チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅

チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅は、ムンバイのコロニアル建築を代表する歴史的建造物。イギリスの建築家が設計したもので、植民地時代の1888年に、およそ10年の歳月をかけて完成しました。教会を思わせる豪奢なビクトリアン・ゴシック様式と、石のドームや尖塔を配したインドの伝統的な宮殿建築が、絶妙なバランスで融和しています。

旧名はヴィクトリア・ターミナス駅。現役で活躍する巨大ステーション
旧名はヴィクトリア・ターミナス駅。
現役で活躍する巨大ステーション

インド鉄道創業時に第1号の列車が出発したことでも知られる同駅は、現在もムンバイのメインステーションであり、インド最大の駅として人々の生活や物流を支えています。路線はインド全土へと広がり、一日の利用者数は300万人を超えるとも。線路がつなぐその先に、新たな出会いや感動が待っているかもしれません。

近郊鉄道や長距離鉄道が乗り入れる駅の構内。人々の往来が絶えず続く Ph saiko3p/123RF
近郊鉄道や長距離鉄道が乗り入れる駅の構内。
人々の往来が絶えず続く
Ph saiko3p/123RF
チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅
アクセス:チャトラパティ・シヴァージー国際空港から車で約1時間(ムンバイ市内)

シヴァ神に捧げられたエレファンタ石窟群

ムンバイの東に浮かぶ周囲約7kmの小さな島に、エレファンタ石窟群があります。16世紀にポルトガル人が上陸した際に、いくつもの象の彫刻を発見したことからこの名前がつきました。島内には5~8世紀に築かれた7つのヒンドゥー教石窟寺院が残され、すべてにシヴァ神が祀られています。島にフェリーで渡ったり、桟橋からミニSLに乗ったりと、楽しみながらアクセスできるのも魅力です。

岩壁の中に口を開ける第1窟。内部はシヴァ神にまつわる彫刻で装飾されている Ph Malgorzata Kistryn/123RF
岩壁の中に口を開ける第1窟。
内部はシヴァ神にまつわる彫刻で装飾されている
Ph Malgorzata Kistryn/123RF

エレファンタ島で見逃せないのが、海抜200mの岩山の頂上付近に造られた第1窟。約40m四方の広間が30本以上の列柱で支えられ、奥には高さ約6mのシヴァ神の胸像が彫られています。3つの顔を持つシヴァ神は、中央の瞑想する顔が調和、向かって右側の柔らかな表情が平和、左側の怒りの形相が破壊を表すといわれています。

第1窟のシヴァ神三面上半身像。端正な表情はすべてを受け入れてくれるようで心が休まる
第1窟のシヴァ神三面上半身像。端正な表情はすべてを受け入れてくれるようで心が休まる
エレファンタ石窟群
アクセス:ムンバイからフェリーで約1時間(約10km)

数世紀の眠りから覚めたラニ・キ・ヴァヴ グジャラート・パタンの女王の階段井戸

1050年に貯水や避暑を目的として築かれた壮大な井戸。時の女王が建造を進めたことから、女王の階段井戸と呼ばれます。深さ27mまで連なる7層の遺構は、壁面にヒンドゥー教の神々や説話の彫刻が施されています。1986年に発掘調査が行われるまで泥に埋まっていたため、破壊や風化から守られ当時の姿を今に伝えています。

精緻な彫刻が当時のままに残された階段井戸。下から見上げる姿も壮観 (写真提供/トリップアドバイザー)
精緻な彫刻が当時のままに残された階段井戸。
下から見上げる姿も壮観
(写真提供/トリップアドバイザー)
ラニ・キ・ヴァヴ グジャラート・パタンの女王の階段井戸
アクセス:ムンバイから国内線でアフマダーバードまで約1時間15分。そこから車で約3時間

インダス文明以前の岩絵が残るビンベットカのロックシェルター群

デカン高原北部のビンディヤ山脈に点在するビンベットカのロックシェルター群。400を超える岩窟住居に、1万年以上前の石器時代から紀元後に至るまでに描かれた岩絵が残っています。その数は数百点にのぼり、トラやヒョウを狩猟する様子や、ヒンドゥー教の宗教儀式の様子、ゾウに乗って戦闘する様子など題材はさまざま。古代の生活や風俗を解明するにも貴重な遺跡とされています。

第15窟に描かれた人間を追う巨大なバッファローの岩絵
第15窟に描かれた人間を追う巨大なバッファローの岩絵
ビンベットカのロックシェルター群
アクセス:ムンバイから国内線でボーパールまで約1時間30分。そこから車で約1時間30分

仏教に帰依した王を偲ぶ、サーンチーの仏教建造物群

サーンチーの仏教建造物群は、緑豊かな丘に散りばめられた仏教遺跡。仏塔や僧院の遺構からなり、直径37m、高さ16mを誇る第1塔が見どころです。これは紀元前3世紀にインド初の統一国家であるマウリヤ王朝のアショーカ王がレンガ積みの塔を建立したことから始まり、紀元前2世紀~後1世紀頃に完成したもの。仏教の歴史を知る上で非常に重要な存在です。

第1塔の四方を囲む塔門は、日本の鳥居の起源と考えられている
第1塔の四方を囲む塔門は、日本の鳥居の起源と考えられている
サーンチーの仏教建造物群
アクセス:ムンバイから国内線でボーパールまで約1時間30分。そこから車で約1時間30分

ヒンドゥーとイスラムが調和する、チャンパネール・パーヴァガドゥ遺跡公園

チャンパネール・パーヴァガドゥ遺跡公園には、先史時代の考古遺跡からヒンドゥー文化の要塞遺跡、イスラムの都市遺跡など、幅広い時代の遺跡が集まっています。特に16世紀頃に造営されたモスク群は、当時のインドに伝わる寺院建築をベースとしたため、ヒンドゥー様式とイスラム様式が融合した斬新なデザインとなりました。周囲には未発掘の遺跡が多く残り、今後も新しい発見が期待されます。

ヒンドゥー様式の支柱にイスラム様式のドームを冠した珍しいモスク
ヒンドゥー様式の支柱にイスラム様式のドームを冠した
珍しいモスク
チャンパネール・パーヴァガドゥ遺跡公園
アクセス:ムンバイから国内線でヴァドーダラーまで約1時間。そこから車で約1時間

西欧風の建物が並ぶ、ゴアの教会群と修道院群

港町ゴアに残るキリスト教の建造物群。ポルトガルの植民地時代に「東方一の貴婦人」と謳われた街に、フランシスコ・ザビエルが眠るボム・ジェム聖堂や、金の彫刻が見事なアッシジ聖フランシス修道院教会、黄金の鐘が名高いセ・カテドラルなどの見どころが点在しています。考古学博物館に展示された当時の装飾品や肖像画も貴重です。

オールド・ゴアと呼ばれるエリアに佇む16世紀のヨーロッパ建築
オールド・ゴアと呼ばれるエリアに佇む16世紀のヨーロッパ建築
ゴアの教会群と修道院群
アクセス:ムンバイから国内線でダボリンまで約1時間。そこから車で約50分

以上、インド西部に点在する9つの世界遺産を紹介しました。岩壁を削った石窟のようにスケールの大きなものから、それらを装飾する壮麗な彫刻や絵画、さらには寺院や教会など宗教の多様性を示すものまで、どれもインドでしか出合えない魅力にあふれています。ムンバイを基点に、胸が高鳴る旅へ出発してみては?

※サーンチーの仏教建造物群、ビンベットカのロックシェルター群、チャンパネール・パーヴァガドゥ遺跡公園、ラニ・キ・ヴァヴ グジャラート・パタン女王の階段井戸はインド北部とすることもあります。

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