出張先での楽しみといえば、現地でのごはん。仕事が目的とはいえ、せっかく地方へ来たのならご当地のおいしいものを食べて帰りたいですよね。しかも、地元の人も通う穴場や名店のグルメにありつけたらなお最高! そこで、日本を飛び回る忙しいビジネスパーソンに代わって出張先での昼&夜ごはんをナビゲート。今回は、高級店から庶民派グルメまでうまいものが数多ある、京都で食べたい絶品出張めしを紹介します!

Photo by
sono(bean)
Text by
Ayano Sakai(verb)

地元民が愛してやまない、京都B級グルメランチ3軒

日本屈指の観光地ゆえ、有名なランチ処はどこに行っても混んでいたり観光客向けの価格や内容だったり。仕事で京都に訪れると、味・ボリューム・価格が満たされるちょうどいい塩梅の店が意外と見つからないことも。

そんなランチ難民のビジネスマンにおすすめしたいのが、地元の人たちが普段使いしているB級グルメの店。そこで、京都っ子がふとあの味を恋しがる、京都でしか食べられない超ローカルグルメを厳選しました。

京都生まれのロマン溢れるガツ飯! キッチンゴンの「ピネライス」

キッチンゴン西陣本店
キッチンゴン西陣本店

京都には美味しい洋食屋がたくさんありますが、そのなかでもひと際個性を放っているのが、キッチンゴンの「ピネライス」です。

店内は昔ながらの洋食屋さんの雰囲気
店内は昔ながらの洋食屋さんの雰囲気
奥にはテーブル席もあり。店内のいたるところに永ちゃんこと、矢沢永吉さんのポスターが飾られています
奥にはテーブル席もあり。店内のいたるところに永ちゃんこと、矢沢永吉さんのポスターが飾られています

キッチンゴンは、大阪万博と同い年1970年に創業した西陣にある老舗の洋食屋。最寄駅から少し離れた立地ながら、お昼時には地元の住民やサラリーマンたちで満席になる町に愛される洋食屋です。

「ピネライス」。この謎めいたネーミングを聞くかぎりでは、どんな料理なのか見当もつきません。さっそく注文してみました。

チャーハンを山盛りに盛っています
チャーハンを山盛りに盛っています
その上に、揚げたてのロースカツをON!
その上に、揚げたてのロースカツをON!
さらにそこへ、カレーをタラ~
さらにそこへ、カレーをタラ~

もうおわかりの通り、ピネライスとはチャーハンにロースカツを乗せてカレーをたっぷりかけた、男の好物をひと皿に盛り込んだロマン溢れるワンプレート料理だったのです!

ピネライス800円
ピネライス800円

「チャーハンとカレーって合うの?」なんて相性を疑いつつ食べてみると、ビックリ。カレーのスパイスとバッティングしないようにチャーハンは薄味に仕上げていて、薄いロースカツと一緒にほお張ると口の中で3つの味が不思議とまとまります。

薄くて大きいロースカツ
薄くて大きいロースカツ

カツもこの薄さがポイント。飽きずに最後までおいしくいただけ、なおかつ、ロースカツの味が出しゃばりすぎずいいバランスを保ってくれるのです。

なんといっても、大好物を一度に食べられる贅沢さが食いしん坊にはたまりません。

「このピネライスは先代のオーナー・権藤吉彦が考案したメニュー。そもそもピネとは、フランス語の俗語で“薄いカツ”を意味するフィネがピネに聞こえたことから、このネーミングになった。と聞いています」(店主・浅田冬武さん)

ピネライスは写真の定番のほか、ケチャップライス+トンカツ+デミソースの「赤ピネライス」800円や、ガーリックチャーハン+トンカツ+カレーがけの「ガーリックピネ」850円、チャーハン+トンカツ+カレーとデミソースの「ハーフピネ」900円もご用意。

ランチタイムに提供されるコーンポタージュスープ。トロトロで濃厚な味わい
ランチタイムに提供されるコーンポタージュスープ。トロトロで濃厚な味わい

ちなみに、ランチタイムに付いてくる自家製のコーンポタージュスープはキッチンゴンのバイプレーヤー的存在でこれまた絶品。テーブルに置かれた「サラダスパイス」を少々振っていただくのが、常連客のお決まりです。

大きなエビフライが鯱鉾のようにオムライスに鎮座。エビオムハヤシライス850円
大きなエビフライが鯱鉾のようにオムライスに鎮座。エビオムハヤシライス850円

ピネライスのほかにも、エビオムハヤシライスやビーフカツなど食欲そそるボリューム満点のメニューも充実。キッチンゴンへ行く際は、お腹をぺこぺこに空かせてから訪れてくださいね。京都駅にも支店があるので、ぜひそちらもご利用を!

キッチンゴン 西陣本店
住所:京都府京都市上京区下立売通大宮西入浮田町613
TEL:075-801-7563
営業時間:11:00~22:00(L.O.21:20)/水曜休

うどんでもラーメンでもない謎メニュー。やっこの「キーシマ」

昭和5年創業の老舗うどん屋「やっこ」の外観
昭和5年創業の老舗うどん屋「やっこ」の外観

次にご紹介するのは、ピネライスに続く京都発の謎メニュー「キーシマ」。京都の人に「キーシマって何?」と聞くと、「ああ、ヤッコノキーシマね」と暗号のような答えが返ってきます。

昭和の香りが漂うレトロで親しみの沸く佇まい
昭和の香りが漂うレトロで親しみの沸く佇まい

正しくは「やっこ」の「キーシマ」で、今年で89年目を迎える昭和5年創業の老舗蕎麦屋「やっこ」で誕生した料理のこと。しかし、メニューを見ても「キーシマ」は載っていません。一体どんな料理なのでしょうか?

キーシマ420円
キーシマ420円

運ばれてきたのは、ネギだけ添えられた具なしのかけ蕎麦のような至極シンプルな麺料理。キーシマの正体は、うどん出汁に中華麺を入れたもの。このありそうでなかった組み合わせが意外なほどにマッチして美味!

北海道産昆布と4種類のカツオ節でとったほんのり甘いうどん出汁
北海道産昆布と4種類のカツオ節でとったほんのり甘いうどん出汁
キーシマに合わせて作った、喉越しのよい細麺の自家製麺
キーシマに合わせて作った、喉越しのよい細麺の自家製麺

やっこのうどん出汁は、昆布とカツオがベースの少し甘めに仕上げた関西風。そこに、かん水控えめの細麺を合わせるのですが、この麺もキーシマに合うように調合した自家製麺というこだわりぶり。

「うどんで食べるよりももう少し甘く感じると思います」と、三代目店主の川畑法子さんが話すように、ダシの風味とほのかな甘みが口当たりよくスルスルと胃袋に入っていきます。飲み過ぎた翌朝の体にも染み入りそうな優しい味わい。

それにしてもうどん出汁×中華麺でなぜ「キーシマ」なのでしょうか?

「初代である私の祖父からの話だと、従業員の間で使う符丁があって、中華麺のことを黄色い麺だから“キー”、かけそばのことを“シマ”と言っていたそうなんです。それで黄色い麺のかけそばで“キーシマ”に。もともとは店のまかないで食べていた裏メニューだったので、その名残りで今もメニューに載せていません」(川畑さん)

甘く炊いたおあげさんを卵でとじたミニ衣笠丼のセットも人気
甘く炊いたおあげさんを卵でとじたミニ衣笠丼のセットも人気

まかないから派生した名物メニューは各地に数多ありますが、やっこのキーシマもそのひとつだったんですね。

キーカレー630円
キーカレー630円

定番のキーシマのほか、カレー風味のキーカレーも人気。シンプルながら一度食べるとふとまた食べたくなる、まるで京美人のような奥ゆかしい魅力を持つキーシマ。京都を訪れたら、ぜひ一度ご賞味あれ。

やっこ
住所:京都府京都市中京区夷川通室町東入ル冷泉町76
TEL:075-231-1522
営業時間:11:30~19:30、土曜 11:30~14:30/日曜・祝日休

老舗果物店が作るサンドイッチが悶絶級のうまさ!
ヤオイソの「フルーツサンド」

喫茶文化が根付く京都では、喫茶店のおなじみメニューとして昔からフルーツサンドが親しまれています。そんな京都人が、「京都のフルーツサンドゆうたらココ!」と口を揃えるのが四条大宮にある「ヤオイソ」です。

四条大宮駅前ロータリーの角に店を構えるヤオイソ本店
四条大宮駅前ロータリーの角に店を構えるヤオイソ本店
店内には高級な贈答用のフルーツがずらり
店内には高級な贈答用のフルーツがずらり

明治2年創業の「ヤオイソ」は、おもに高級な贈答品用の果物を扱う老舗果物店。およそ45年前に、5代目店主が「旬の果物を美味しいときに提供したい」と、当時はまだ珍しかったフルーツサンドを販売。その後、評判がクチコミやテレビで広がり、今や1日に200~300個売れる店の看板商品になったのだそう(ヤオイソ本店はテイクアウトのみ)。

スペシャルフルーツサンドセット(ミックスジュース付き)1,020円(税別)
スペシャルフルーツサンドセット(ミックスジュース付き)1,020円(税別)

大きくカットされた果物の断面も見事な美しさで、この断面を見ているだけで食べる前からテンションが上がります。

フルーツサンドに使用する果物は、もちろん贈答用の極上品。パンの間には、イチゴ、キウイ、パイン、パパイヤ、メロンが交互に挟まれています。ひと口食べた瞬間、果汁がジュワッと溢れ出る果物のみずみずしさと、生クリームのハーモニーは悶絶モノ! そのおいしさに思わず唸ってしまいます。

フルーツサンドといえば甘ったるい印象がありますが、ヤオイソのフルーツサンドは果物の甘さが主役。生クリームはオリジナルの配合で甘さ控えめに仕立てているため、甘党じゃない人も美味しくいただけるのも魅力です。

テイクアウト用のフルーツサンド670円(税別)
テイクアウト用のフルーツサンド670円(税別)
テイクアウト用のスペシャルフルーツサンド820円(税別)
テイクアウト用のスペシャルフルーツサンド820円(税別)

定番のフルーツサンドのほかに、より具の大きいスペシャルフルーツサンドや、5月から夏頃にかけてはマンゴーサンドなど、季節のフルーツサンドも登場するので期間限定の商品も要チェックです。

フルーツパーラーヤオイソ外観
フルーツパーラーヤオイソ外観
フルーツパーラーヤオイソ内観
フルーツパーラーヤオイソ内観

4軒隣のフルーツパーラーヤオイソではイートインも可能。ただし、行列ができている時間帯もあるので、訪れる時は時間に余裕を持っていくのがおすすめです。

本店でお持ち帰りをして空港ロビーや機内で食べるのを楽しむビジネスマンもいるそうなので、時間のない方は真似してみてはいかがでしょうか。食べれば幸せ気分になれること、間違いなしです。

ヤオイソ四条大宮店(本店)
住所:京都市下京区四条大宮東入ル立中町488
TEL:075-841-0353
営業時間:9:00~18:00/無休(年末年始除く)
ヤオイソフルーツパーラー
住所:京都市下京区四条大宮東入ル立中町496
営業時間:9:30~17:00(L.O.16:45)/無休(年末年始除く)

個性際立つ京都のローカルグルメを堪能したら、夜ははしご酒も楽しめる京都屈指の立ち呑みパラダイスをご案内。気取ってなくてあたたかい、地元呑兵衛たちの日常におじゃまします。