信濃の国が生み出す流れ
長野県に源を持ち、新潟県で日本海に注ぐ信濃川。全長367kmで、日本一の長さを誇るこの川は、下流の新潟県では信濃川、上流の長野県では千曲川と呼ばれる。「小諸なる古城のほとり」で始まる、島崎藤村の「千曲川旅情の歌」にも詠まれているとおり、数多くの渓流釣り場がある長野県にあっても、誰もが認める特別な母なる川だ。ちなみに、地元の長野県内で信濃川と呼ばないのは、その名称が新潟での「信濃の国から流れて来る川」に由来するからであり、このように上流と下流の県で呼び名が変わる川は、山梨の桂川と神奈川の相模川のようにいくつかある。
春の千曲川で盛んな釣りは渓流釣り。特にヤマメやイワナをねらう渓流釣りは地元でも人気があり、県外からも多くの釣り人が訪れる。釣り場となるのは、おもに千曲川旅情の歌の中で読まれている佐久から上流のエリアだ。
本流のヤマメ・イワナ釣り
千曲川の上流部は、長野県の南部を南から北に向かって流れており、上流には甲武信ヶ岳、八ヶ岳、清里高原、野辺山高原などの登山や避暑で有名な山地が広がる。千曲川本流の最上流部が流れる川上村は、高原レタスの一大産地として有名だ。
雪解けが終わり標高の高いエリアにも春が訪れる6月頃からは、これらのエリアを流れる千曲川の各支流での渓流釣りが楽しいが、5月の大型連休明け頃までであれば、ヤマメやイワナがよりねらいやすいのは少し下流の佐久穂町や佐久市を流れる千曲川本流や、それらのエリアを流れる、大石川、相木川、湯川などのやや規模が大きめの支流の下流部。いずれも漁協による放流がしっかり行なわれており、また自然産卵で増えている魚もいるので、エサ釣り、ルアーフィッシング、フライフィッシングとそれぞれの釣り方で楽しめる。特に佐久穂町近辺の本流では、この頃になると冬場の低水温が一段落して、カゲロウなどの水生昆虫が数多く羽化するようになり、すると魚たちも活発にエサを追うようになるため、楽しい釣りができる。
高原エリアでの観光と釣りも楽しめる
JRの駅で全国一高い標高の地点にある「野辺山駅」周辺の野辺山高原や、昭和の初期にまだ貧しい山村だったこの地域に新しい可能性をもたらした「清泉寮」のある清里高原などは、どちらも千曲川に沿って走るR141沿いにあり、そのままドライブに出かけることも可能。まさにこれからが新緑に染まる高原景色を満喫できる季節であり、信州ならではの山の景観は一見の価値がある。
また、大石川の上流にある八千穂高原も、天然の白樺林などが見られる高原だが、ここには毎年4月の下旬からオープンする「八千穂レイク」というルアーとフライフィッシング専用の釣り場があり、浅間山や秩父山系の山々が見えるロケーションの中で、コンディションのよい大型のニジマスの釣りが楽しめる。親子で手軽に釣れる「釣りっ子ランド」などもあって、高原ドライブの合間に手ぶらで釣りを楽しむことも可能だ。7月からはフローターという、釣り用の浮き輪を使った釣り方もトライできる。
この釣り場へのアクセス
羽田空港から中央道の須玉ICを降りてR141方面へ。R141沿いに上流側からアクセスできる。
野辺山・清里高原まで須玉ICから30分。佐久穂町・佐久市内までは50分ほど。
釣り場情報
〈千曲川/ヤマメ・イワナ〉
解禁期間 | 2月16日~9月30日 |
遊漁料 |
佐久漁協 1日1,300円、南佐久南部漁協 1日1,700円 |
管轄漁協 | 佐久漁協(https://sakugyo.com/)、 南佐久南部漁協(http://minamisaku-gyokyou.jp/) |
問合先 | マウンテンロックリバー(釣具店/佐久市。http://mt-like.ailesys.co.jp/) |
〈八千穂レイク/ニジマス・ブラウントラウト〉
シーズン | おすすめは6~8月 |
遊漁料 | 釣りっ子ランド 1回利用料1,500円、八千穂レイク 1日3,500円(一般)、2,500円(子ども) |
問合先 | 佐久穂町観光協会(釣り場/佐久穂町。https://yachiho-kogen.jp/article/reiku/) |
- 釣り場情報は2015年5月現在のものです。