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    掲載日:2021.11.12

    楽しい!釣りの自然科学(第8回 口を見れば釣り方がわかる⁉)

    公立中学校と高校で37年にわたり理科教諭を勤め、『かわいい子には釣りをさせろ』の著書もある奥山佳一さんが、釣り場で起きる自然現象やその理由を分かりやすく解説。生涯役立つ自然科学の基礎知識を、大人にも子供にもわかりやすく教えてくれます。

    エサに合わせて分かれる口の形

    魚の口の形は大きく3タイプに分かれる

    私たち哺乳類は、食性に合わせて口や歯を進化させました。肉食獣は鋭く尖った犬歯を、草食動物は固い草をすり潰すのに適した平らな臼歯をしています。

    魚も食性に応じて、口、歯、行動場所などが変化しました。

    1. 下アゴが長く上の方にいるエサを捕食する魚です。スズキ、メバル、ブラックバスなどです。
    2. 両アゴの長さが変わらない口を持った魚で、正面にくるエサを捕食します。アジ、カツオ、マグロなどです。
    3. 上アゴが長く下の方にいるエサを捕食する魚です。キス、メジナ、コイなどです。

    また、エサを吸い込んで丸呑みするアジやブリのような魚は口が大きく、鋭い歯はありません。ブラックバスが釣れた時に下アゴを持って取り込む姿をよく見ますが、鋭い歯がないのでできるのです。

    鋭い前歯を持つタチウオ。歯の有無や形も魚の食性を反映する

    一方、タチウオのように噛みついてエサを捕らえる魚の口には鋭い歯があります。以前素手でタチウオを掴んだ時、歯が手に当たりスパッと切れた経験があります。ナイフのような切れ方に驚きました。

    イワシなどの小魚を主なエサにするヒラメは口が大きい
    カレイの体型はヒラメと似ているが、口は小さく食性が違うことがわかる

    口の大きさにも特徴があります。カレイとヒラメの体形はよく似ていますが、ヒラメは小魚を食べるため大きな口と鋭い歯をしており、カレイはゴカイやイソメなどのいわゆる虫エサを食べるため小さな口に進化しました。カワハギはオチョボ口で岩に付着する巻貝や海藻類を食いちぎります。イシダイは鳥の嘴(くちばし)のような口で貝類やウニなど硬い殻を持った生物をかみ砕いて食べています。このように魚は食性により口の形を進化させました。口の形を見れば、どんなエサを使い、どこを攻めればよいのかをある程度知ることができるわけです。

    口の形から自分で釣り方も考えられる

    下アゴが極端に長いサヨリ
    アマダイの口は下を向いている

    釣りの本には、魚に合わせた釣り方や好むエサなどが書いてありますが、魚の口や体形から自分で判断することも可能です。

    たとえばサヨリの口は下アゴが長く上アゴは極端に短いことから、表層を漂うエサしか食べない魚であることがわかります。水面から数m下に仕掛けを流しても釣れません。また、アマダイの口は下向きでこの形から底のエサを捕らえている魚だとわかります。底から仕掛けが浮きすぎては釣れる確率は下がります。ただし、ボラのように口の形を見ると表層付近で活動していることは分かりますが、実際には表層から底まで幅広い層で釣れる魚もいます(ボラはダンゴ釣りをしているとどこでも釣れます)。

    なお、多くの魚は活性が上がってくると浮いてきます。また、明るいうちは底にいた魚が夜になると表層までやって来る場合も結構あります。魚が釣れるタナは条件によって変化しますが、まずはねらっている魚の口の形に合わせて基本的な釣り方を判断してみると良いのではないでしょうか。

    ライター:奥山 佳一

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