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掲載日:2022.02.15

トリップ&ソロフィッシング。海と山が接する自然と歴史の地。紀東なら叶う穏やかな釣り

カセからねらう本命のマダイ

カセ釣りで青物(ブリの幼魚)をヒットさせていたお客さん

迎えが来たところで荷物を一度積み直し、湾内を数百メートル移動。マダイの養殖イケスの1つに固定されたカセに移ります。釣りをするのはイケスと反対の開けた側ですが、養殖イケスには定期的にエサが撒かれるため、それらにつられて他の魚も寄って来るのです。カセはイカダに比べれば半分以下の広さですが、釣り人の数だけ用意されているのでスペースには十分余裕があります。また穏やかな湾内なので揺れることもほとんどありません。

午後からスタートしたカセ釣りで待望のヒット!

城渡船でマダイをねらっている人が行なっている釣り方の1つがフカセ釣りです。フカセ釣りとは、寄せエサをしながら、ハリに小さく付けたエサをなるべく自然に落としていく釣り方のことで、同じ釣り方でメジナ(グレ)も釣れる可能性があります。実は三木浦のカセでは50cmを超える大型のメジナも非常に人気があり、こちらを本命に通ってくるお客さんも少なくありません。ちなみにマダイは底近く、メジナの場合は少し上の中層を主にねらうことになります。
カセ釣りを始めてしばらくすると、最初のアタリをとらえたのは、フカセ釣りのアドバイスもしてもらうために同船していたKさん。ハリにはオキアミを付け、寄せエサ用にも別のオキアミをパラパラと撒き、2つのエサが同調しながら沈んでいくように流していくと、そろそろ底近くまでエサが届きそうというタイミングで「ツツッ」と糸が引き込まれるアタリが来ました。やがて海面まで上がってきたのは、目にくっきりと青いアイシャドーが浮かぶ姿のよいマダイです。

目の上にくっきりと浮かぶ青色の筋はまるでアイシャドー。マダイに見られる特徴です

「こんなにきれいない色のマダイは初めてかも!」と、万里奈さんも驚く本命でした。ただ、この後はなかなか釣れない時間が続きます。三木浦のマダイは1年を通じてねらえ、5~6月には70cmオーバーの実績も多数ありますが、低水温期の今は簡単には行きません。1日目を終え、どうすれば少しでもチャンスが広げられるかを考えた万里奈さん。決めたのは、慣れないフカセ釣りではなく、持参していた船釣り用の道具でじっくり集中し続けることでした。地元の釣りエサ店にあらかじめ電話で相談した際、「水深が30~40mある状況なら、そうした釣り方も十分にチャンスはあるはず」と確認していたことも決め手になりました。

24時間営業で三木浦から車で15分ほどの「エサ市場えさきち尾鷲南館」
船釣り用の道具をセットしてマダイをねらうことにした万里奈さん

2日目、朝から別のカセに乗ります。釣り方はコマセダイと呼ばれる、カゴの中にオキアミを混ぜた寄せエサを詰め、ハリにはオキアミを刺して、魚を寄せたところでハリのエサに食い付かせるという方法です。その際、前日の様子から魚の活性が決して高くないと考えた万里奈さんは、ハリス(ハリを結ぶ糸)を細めの2号にして長さを3mにする調整を行ないました。

ついに捉えたしっかりとした引き込み

するとこの日はKさんも朝から苦戦する中、お昼前にサオ先がしっかり引き込まれるアタリを捉えました。「お願いだから上がってきて」と、リールを巻いて掛かった魚を慎重に引き寄せます。

釣れたのはねらっていたマダイ。自分で考えた工夫が実を結び、魚に出会えたうれしい瞬間です

無事取り込んだのは待望のマダイ。少しぽっちゃりしているので、養殖イケスから逃げ出して大きくなったものと思われますが、「食べたら美味しいよ」と船長も太鼓判。何より、簡単には釣れない状況の中でも、諦めずに自分に合った釣り方を考え続けて、魚を手にできたプロセスに価値があります。

すぐに2尾目をねらったところで、引きも力強かった寒ボラをキャッチ

その後、同じ釣り方で元気なボラも追加。きれいな海で育つこの時期のボラは「寒(かん)ボラ」と呼ばれ、マダイに劣らず食べても美味しいことで知られています。「大マダイではなかったけれど、これもちゃんとさばいて美味しく食べてみますね」と、笑顔で有終の美を飾りました。

観光も散策も楽しい尾鷲市街

メニュー豊富な食堂があり、地元産品のお土産も販売されている「おわせお魚いちばおとと」

こうして三木浦の海を満喫した万里奈さん。お昼は尾鷲の市内にある「おわせお魚いちばおとと」に足を伸ばしてランチを楽しみ、樹齢1千年以上といわれる大楠がそびえる尾鷲神社にもお参りします。

海鮮丼のほか総菜コーナで買えるめはり寿司(高菜の漬物でくるんだおにぎり)なども美味しい
良縁で知られる尾鷲神社。大きな魚との出会いも叶うかも?
雄楠と雌楠の2本が対を成す大楠は県の天然記念物にも指定されている

お腹を満たし神社にお参りもしたあとは、古人が自然石を敷き詰めてきたものが現在も残っている、熊野古道の馬越(まごせ)峠道も訪ねて、この地域が持つ歴史の深さも実感しました。もちろん、魚も、人も、歴史も、今回の旅で出会えたのはまだほんの一部です。「期待していたとおりに、本当に楽しかった。絶対にまた来ます!」という万里奈さんの言葉に、新しい土地を知ることができた喜びがこもっていました。

雨の多い尾鷲で歩きやすい道を守るために整備されたといわれる馬越峠道の石畳

釣り場情報

アクセス

中部国際空港や関西国際空港からレンタカーを利用。三木浦の最寄りは熊野尾鷲道路の三木里ICになるが、釣りエサや仕掛けを購入する場合は、ひとつ手前の尾鷲南ICで降りて「えさきち尾鷲南館」に立ち寄るのが便利。

釣り情報

尾鷲周辺の紀東エリアのイカダ・カセ釣りは周年楽しめる。今回紹介したマダイやメジナ(グレ)のほかに、クロダイをねらうダンゴ釣りも盛ん。アオリイカのエギングも人気がある。また、イカダ・カセではなく、磯に渡ってメジナをねらう釣りも非常に盛んであり、錦、白浦、尾鷲などに多数の磯渡しを行なっている渡船店がある。

渡船店「城渡船(イカダ・カセ釣り/三木浦/今回利用した渡船店)」

  • 住所:三重県尾鷲市三木浦町35-3
  • 電話:0597-28-3185
  • ウェブサイト:城渡船

釣具店「えさきち尾鷲南館」

  • 住所:尾鷲市大字南浦1980番地
  • 電話:0597-37-4183
  • 営業時間:24時間営業。他に「えさきち大内山インター館(錦などはこちらが最寄り)」など系列店もある
  • ウェブサイト:えさきち尾鷲南館

食事・お土産「おわせ お魚いちば おとと」

  • 住所:三重県尾鷲市古戸野町2-10
  • 電話:0597-23-2100
  • 営業時間:年中無休。店舗は10:00~18:00,食堂は11:00~14:00
  • 記載の内容は2022年2月現在の情報です。変更となる場合があるのでご注意ください。
  • 写真はすべてイメージです。
ライター:ANA釣り倶楽部
フォトグラファー:浦 壮一郎
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