「たたら製鉄」にゆかりのある奥出雲グルメ

お米と牛と椎茸の美味しい関係

ANAプレミアムメンバー向けライフスタイルマガジン「ana-logue(エーエヌエー・ローグ)」春号では、「島根 出雲国の暮らしの土壌」という特集を掲載しております。その中から、Life & Mile読者の方にサイドストーリーを紹介しています。

広島と鳥取との県境に近い中国山地の山間にある仁多(にた)群奥出雲町。そこはスサノオノミコトが降り立ったとされる船通山(せんつうざん)があることから、神話の舞台として知られ、古代の製鉄法「たたら製鉄」の一大拠点として日本の産業史にその名が刻まれた、歴史とロマン溢れるエリアだ。

最近では、産地ブランド米である『出雲國仁多米』が権威あるコンクールで金賞を受賞したほか、奥出雲和牛や奥出雲椎茸といった美味しい食の産地としても注目されている。しかもこれら特産品が循環型農業によって生産されており、そのルーツが「たたら製鉄」の歴史につながっている点が興味深い。

この地で「たたら製鉄」が栄えたのは、良質な砂鉄が採れたことと、森林資源に恵まれていたことが背景にある。そして砂鉄を採掘する際に「鉄穴(かんな)流し」と呼ばれる手法で切り崩した山の跡地は、運搬用に飼われていた牛馬の放牧地となり、後に棚田に造成された。木炭の供給源として整備されていた森林は、「たたら製鉄」が衰退した後に椎茸栽培のほだ木や家畜の敷料として活用された。

「たたら製鉄」と関わりの深いお米、牛肉、椎茸は、時間の経過とともに品種改良を重ねながら、奥出雲の特産品として進化していく。その過程の中で、お米の一部が牛の飼料となり、米ぬかが椎茸の菌床栽培のほだ木に混ぜ込まれ、牛ふんと廃ほだ木は完熟堆肥となり棚田へ散布され美味しいお米を育てるといった、循環型農業へと発展していくのだ。

梅雨が終わり、緑が一層濃くなるこれからの季節は、青々と育った稲が風に揺れる棚田の景色を楽しめる絶好のタイミング。そんな「たたら製鉄」が残した美味しい遺産と産地ならではの食を見つけに、ぜひ奥出雲まで足を伸ばしてみてはいかがだろうか。