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掲載日:2015.12.17

どの国も新鮮でいて故郷みたいに懐かしい 風のように世界を旅する、坂本美雨の旅の視点

ミュージシャンとして、またラジオパーソナリティ、ナレーター、作家として、多方面で活躍する坂本美雨さん。坂本龍一さんと、矢野顕子さんという日本を代表する音楽家を両親に持ち、幼い頃から世界各国を旅してきた美雨さんは、あらゆる国にすっと馴染んでしまうような雰囲気が魅力です。今回はそんな坂本美雨さんに、ご自身と旅の関わりについて伺いました。
ANAオリジナル

幼い頃から旅はごく身近な存在

―― 世界各国、様々な国に行かれているイメージがありますが。

坂本美雨さん(以下敬称略):両親の仕事柄、幼い頃から外国へ行く機会は多くありました。両親の公演にくっついて、ロンドンやパリに行ったり。仕事を始めてからも様々な国に行きました。アイスランド、中国、カナダ、南アフリカ、モルディブ……。仕事がらみが多いですが、プライベートで行くこともあります。

―― 特に思い出に残っている場所はありますか?

坂本:ロンドン!13歳のとき、初めて降り立った瞬間、とにかく好きだ!って感じました。あの湿気、匂い、街に漂うアンニュイな雰囲気……。直感的にここだと思って、ロンドンの芸術大学に通おうと本気で考えたんです。たまたま高校在学中から仕事を始めてしまったので、断念したんですけど。もうあれから20年以上経ったのかあ。かなり変わったんでしょうね、また行きたいな。

冬のシベリアも印象的でした。12月から1月にかけてのとっても寒い時期に3週間、シベリア鉄道に乗って旅をするお仕事だったんですが、とにかく、寒い。寒いの一言。ウォッカをきゅっと飲まずにはやっていられない寒さなんです。でも凜とした空気の中、どこまでも永遠に続いていくような荒野にすっと伸びていく線路の景色は本当にフォトジェニックでした。そこで暮らす漁師さんやブリヤード民族の方々にもお会いでき、感銘を受けました。母の影響もあると思うんですけど、鉄道は昔から好きでした。乗り鉄でも撮り鉄でもないんですけど、線路のある風景が好き。あ、もちろん飛行機も好きですよ(笑)。

凍り始めたバイカル湖の前での一枚。強烈な寒さが印象的だった
シベリア鉄道の途中で通るブリヤート共和国の村で、馬を飼育しているおじいちゃんと

ティーンエイジャー時代に抱いた日本への憧れ

―― 旅のお仕事が多いのは旅が好きだったから?

坂本:そうですね。特に旅が好きだと主張していたわけではなかったんですが、幼い頃から外国を訪れることは多かったし、9~21歳までは家族でニューヨークに住んでいて、日本とニューヨークを行き来する生活でした。
だから思春期は、日本の方がむしろ旅先のような感じ。日本に対して、いろいろと憧れていました。かわいい制服や、細々とした雑貨、コンビニ、そして日本のカルチャー全般。特に音楽や……。

―― 音楽も!?

坂本:はい。小さい頃、T.M.ネットワークが大好きで。父にも聴くように勧めたり(笑)。

坂本美雨さんインタビューの様子

“旅”というものを特別意識してきたわけではなかったけど、移動すること自体は私の人生の一部だったのだと思います。もちろん、英語が話せたこともコミュニケーションの面で役立ったと思う。でも一番大きかったのは思春期のまっただ中を海外で過ごしていたことだと思います。私は日本人ではあるけれど、日本のことを新鮮な目で見ていました。今はもう東京生活も長くなり、家族もできて、東京にすっかり馴染みましたが、どこかでニューヨークも同じように故郷みたいな感じなんです。それと同じように、旅で訪れたどの土地にも新鮮な驚きがあり、同時に懐かしさも感じます。

土地から受けた新鮮な印象を伝えたい

―― 旅のお仕事をするときは、どんなことを意識されていますか?

坂本:なるべく、私ならでは感覚を伝えようと思っています。新たな土地に降り立ったときに、真っ先に感じること。例えば、匂いや音や湿度、土地全体を包みこむ空気をストレートに感じ取って伝えていけたらな、と。だから五感を研ぎ澄まし、あまり事前に情報をいれないようにしています。

南アフリカ、ヨハネスブルグのアパルトヘイトのあった地区、ソウェトにて。
子供たちの明るさと素朴さは一生忘れられない

旅では誰もが心を解きほぐされる。その解放感が好き

―― 旅先で、オフの時間はどんな過ごし方をしていますか?

坂本:実は、あんまり動かないんです(笑)。夫は精力的に動きたがる方なんですけど、私はホテルで朝ごはんをのんびり食べたり、カフェでぼーっとしたりするのが好き。カフェで、人の動きを眺めていて発見できることって結構あるんです。その街の成り立ちがなんとなくわかるというか。あとは、最近は知り合いが増えたから、その街に住む友達や行ったことのある人に聞いたお店やレストランに行くことが多いかな。

観光名所に行ったり、テーマパークに行ったり、旅には楽しいことはいっぱいあるけれど、結局、後々まで覚えていることって些細な事だったりしますよね。私の場合、15歳のときに母とパリのカフェに行ったときのことを良く覚えています。雑誌に出てきそうな、お洒落なカフェで母とランチをして、母はビールを、私はジュースを頼んだんです。当時、眉毛を細くするメイクが流行っていて、私もそのブームに乗って眉毛を細くしていたんですけど、フランスの人には、それがずいぶんと老けて見えたのかな?なんと、母が頼んだビールが私のところに来たんです!笑って母と交換したんだけど、その後、お会計も私のところにきた(笑)。日本だといくらなんでも15歳の私と母の歳が逆に見られることなんてないんだけど、ヨーロッパだとそういう誤解もあり得るんだと気づきました。また、当時は多感な年頃で、母とそんなに打ち解けて話せなかったんだけど、そのときは自然に笑って話せたし、そんな些細なことがあの15歳の旅で一番思い出深い(笑)。やっぱり旅のときって心が解き放たれるのか、日常では伝えられない思いが話せたり、行動ができるんだなあって。それが旅の魅力なのかなと思っています。

南アフリカ・ケープタウンで憧れのチーターと。
猫吸いとしては吸いたい衝動に駆られたものの思いとどまった(笑)

―― ご家族も増え、これからは旅の形態が変わりそうですね。

坂本:はい!夫はブックディレクターの仕事をしているから、各地で本屋巡りに付き合わされます(笑)。面白い古本屋さんとか。これまでそういう目で旅をしてこなかったから、一緒にいて発見がいっぱい。一人で旅するのとは全然違う楽しみがあります。彼は予定を立てて効率的に行動したがるんだけど、私はすぐにちょっと休もうよ~って言って呆れられたり(笑)。それもまた楽しい。

坂本美雨さんとお子さん

いつか、子供をアイスランドに連れて行きたいな。あの、圧倒されるほどの雄大な自然を見せてあげたい。もちろん私の好きなロンドンへも。この子がロンドンをどう感じるか、その心の動きを見てみたいし、語り合いたい。みんなで一緒に旅に行ける日が、今から楽しみです。

Traveler's Item

ロングフライトの達人、坂本美雨さんの旅を支えるアイテム

子供の頃からニューヨークと東京の行き来を繰り返してきた坂本美雨さん。およそ13時間半ものロングフライトを快適に過ごすために、様々な工夫を凝らしてきました。

飛行機に乗るときに必ず持っていくのは、フライト中に履き替えるサンダルとネックピロー、そしてアロマオイル。この3点セットは機内でリラックスするための必須アイテムです。その他、お気に入りの本や音楽も持ち込んで、機内を自分好みの快適空間に造り上げていくそうです。

サンダル、ネックピロー、アロマオイル

また、大の猫好きの美雨さんならではの必須アイテムが、愛猫サバ美の写真。機内はもちろん、旅先でも折りに触れて眺めては、癒されているそうです。「他のどんなアイテムも忘れたら買えるけれど、これだけは絶対に手に入らないので、一番忘れないように気をつけています」。

愛猫サバ美の写真
坂本美雨さんと愛猫のサバ美

最後に、旅の始まりに必ず行う“おまじない”を教えてもらいました。それは飛行機に乗ったときに、飛行機の壁をこんこんと叩いて「一緒に飛ぼうね」と話しかけること。旅仲間でもある作家のロバート・ハリスさんに教えてもらったおまじないだそうですが、これをすることでこれから始まる旅がきっと上手くいく、と自信が持てるそうです。

坂本 美雨(さかもと みう)
坂本 美雨(さかもと みう)

1980年5月1日生まれ。
音楽家の両親と共に渡米しニューヨークで育つ。97年歌手デビュー。ニューアルバム『Waving Flags』、ライブDVD『LIVE Waving Flags』発売中。
音楽活動の傍ら、ナレーション、執筆活動なども行い、東京FM系列ラジオ番組『坂本美雨のディアフレンズ』パーソナリティを担当。大の愛猫家であり、2014年に著書『ネコの吸い方』(幻冬舎)を刊行。

ライター:Naoko Sumita
Photo by Toshiharu Sakai

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