

およそ半世紀ぶりに登場した国産旅客機MRJ
2008年3月にANAがローンチカスタマーとして25機を発注し事業化が決定したMRJ(三菱リージョナルジェット)。YS-11以来、約50年ぶりの国産旅客機ということでニュースでもたびたび取り上げられているので、飛行機ファンでなくてもその名を耳にしたことのある方は多いでしょう。2015年11月11日に愛知県の小牧空港で行われた初飛行の映像は「再び日本の空を国産旅客機が飛ぶ」という夢と希望を与えてくれました。
MRJは座席数70席から96席の小型機で、今後は主に国内の地方路線で活躍することになります。

いざ、MRJを操縦すべく「三菱みなとみらい技術館」へ
夢の飛行機MRJですが、現在はまだ開発途中のため実機を見る機会はごく稀。MRJの模型や内装、操縦が体験できる「三菱みなとみらい技術館」はとても貴重な施設です。

航空、海洋、交通、エネルギーなど幅広い分野で技術開発を行う三菱重工が、その最先端の技術を広く知ってもらおうと1994年にオープンした体験型の施設です。2016年2月にMRJの実物大模型もリニューアルしました。
MRJの実物大モックアップには実機のシートも装備
「三菱みなとみらい技術館」は航空宇宙、海洋、環境・エネルギーなど7つのゾーン、2フロアから成りますが、MRJがあるのは1階の航空宇宙ゾーン。
航空宇宙ゾーンに入ると、早速MRJの前胴部が出迎えてくれます。フェイスラインは、細面で端正。

前胴部の隣には、プラット・アンド・ホイットニー製のギアードターボファンエンジンや、主翼の一部も展示されています。

前胴部の内部にはシートやコックピットを再現。

今回採用されたシートはアメリカのゾディアック社製。従来のものにくらべると薄いので、小型機ながら足回りに余裕が生まれます。天井部にある荷物棚はここでは開閉はできませんが、この形状ならばそこそこ大きな荷物でも入りそう。
入口に向かって光が差すよう設置されたシーリングライトは、機内に入って来る人には明るさを感じさせますが、シートに座ると、後方からの柔らかな光に包まれリラックスできるよう工夫されています。そして、シートに座って天井を見上げると、富士山のシルエットが浮かび上がるのです!

これは日本らしさを表現したい、という作り手のこだわりだそう。
約5分間の操縦体験は意外に手強くリピーター続出!
それではいよいよ操縦席に入ります。

操縦席は2席ありますが、機長席である左側を使用します。コックピットはMRJの特徴である大型モニターを再現しており、ヒューマンエラーを可能な限り排除するよう考慮された、シンプルなコックピットの造りを体感することができます。
操縦桿を引いて出発!離陸したら、眼下に海を見渡す爽快なフライトを楽しみます。機体を旋回させようと操縦桿を強めに傾けると思いのほか大きく機体が傾くので、コントロールは意外に大変。モニターの誘導に従って、島の滑走路に無事着陸……のはずだったのですが、滑走路ずいぶん手前に不時着してしまいました。容赦ない仕打ちに、眠っていた闘争心の芽生えを感じます。無事ランディングできる人は3~4割だそう。リベンジに訪れる人も多いそうです。

操縦体験は先着順。体験料は入館料に含まれますが、人気のアトラクションのため土曜・日曜は1時間以上待つこともあるそうです。狙い目は平日の晴れた日の午後(屋内施設なので雨の日は混みがち)。この時間ならそう並ぶことなく体験可能です。
その他の体験型展示もおもしろい!
「三菱みなとみらい技術館」にはMRJの操縦体験以外にもたくさんの展示がありますが、ただ見るだけではなく体験型の展示が多いのが特徴です。MRJエリアには、タッチパネルでパーツを選び、飛行機を組み立てるアクティビティがあり、尾翼やエンジン、機体の形がそれぞれどのような役割を持っているかを学ぶことができます。
国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」の実物大模型の中では、宇宙飛行士の適性診断のゲームも。

もし適性ありと診断されたら、宇宙飛行士を目指してみてもいいかもしれません!
海洋ゾーンでは、有人潜水調査船「しんかい6500」の実物大模型の展示があり、その隣のシミュレータ「SUPER SHINKAI」では海底探検ができます。

ところで、このゾーンの壁には不思議な生き物が泳いでいます。実はこの生き物たち、来館者がタッチパネルでパーツを組み合わせて作った深海生物メカ。


直感的に作った生き物が、それぞれの機能に応じた動きでスクリーンに現れます。これには子供も大人も興奮!
2階にあるエネルギーゾーンでは、風力、水力、火力、地熱、原子力、太陽エネルギー発電のそれぞれの仕組みをわかりやすく展示しています。エネルギーを効率良く分配するアトラクションもあり、楽しくエネルギー問題について学べるよう工夫されています。
ミュージアムショップではMRJグッズの他、宇宙食や実験キットなどを販売。ミュージアムショップだけの利用もOKなので、ちょっと気の利いたプレゼントを探しに覗いてみても良いでしょう。

毎週日曜日は無料で館内ガイドツアーも実施。各ゾーンの見どころをわかりやすく解説してくれるので、初めてならば参加してみるのもおすすめ。また三菱重工のOBさんたちがボランティアで在館している日もあるので、現場で活躍されていた方ならではの専門的な話を聞く機会があるかもありません。
施設自体はそう大きくないのですが、すべて見て体験していると1日あっても足りないくらいです。
小さなお子さまから大人まで楽しめる「三菱みなと未来技術館」。次のお休みはぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?
- 三菱みなとみらい技術館
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住所:横浜市西区みなとみらい3-3-1三菱重工横浜ビル
電話:045-200-7351
時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:火曜(祝日の場合は翌日)
入館料:大人500円、中高生300円、小学生200円
URL:https://www.mhi.co.jp/museum/index.html